東京大学名誉教授唐木英明氏「食品のリスクコミュニケーションの難しさ」をテーマにした講演を聞きました。同感している部分が多く、レジュメを3回に分けて載せたいと思います。
食品のリスクコミュニケーション(以下リスコミ)の目的は、行政によるリスク管理策の決定のために、食品を供給する側の事業者と受け入れ側である消費者の間で、受容可能なリスクについての合意を得ることであり、その前段階として関係者が正しい知識を共有することである。リスコミを目的として行政や事業者が主催する情報交換・意見交換の会合も多く開催されているが、基礎的な知識の共有でされまだ十分とはいえず、残留農薬、食品添加物、遺伝子組み換え作物、中国食品などに対する大きな誤解が広まっている。例えば残留農薬や食品添加物については厳しい規制により健康被害は出ていないにも関わらず、アンケートでは多くの回答者が「不安」と答える。それらの「恐ろしさ」を訴える記事や番組は後絶えず、そこから得た知識をそのままアンケートに記載する解答者が多い。せいぜい100人程度で行うことが多い意見交換会と全国に情報発信するマスメディアの力の差である。