上野の国立西洋美術館で開かれている「カボディモンテ美術館展」に行ってきました。
あまりの酷暑のために、仕事の上がりに上野まで回る体力も気力もなかったためにしばらく美術展も音楽会も、映画鑑賞さえもしなかったのですが、
ようやう暑さも一段落したことと、都心にはよほどの用事が無いと出てこない「連れ」が、めずらしく、アルテミジア・ジェンティレスキという女流画家(1593~1652)の「ユーディット」だけは観たいという「連れ」の希望によっての美術鑑賞でした。
以下、連れの弁。
ユーディットとは、ネブカドネザル王(架空の存在と見られるが)から、その統治への助力をしなかった西の国々への報復のため派遣されたホロフェルネスという将軍を、ホロフェルネスの陣にやって来て、ホロフェルネスを誘惑し、ホロフェルネスが酔いつぶれたところで、彼の首をはねヘブライ人の英雄である寡婦のこと。
いろいろな男性画家が、彼女がホロフェルネスの首を切る場面を描いているが、女性画家で以て同様の画題を描いているのはアルテミジアだけであり、そのリアリティにおいて、アルテミジアに及ぶ者はいない。
ちなみに、その作品の鬼気迫る描写の背後には、彼女自身の、その師匠アゴスティーノ・タッシから度重なりレイプされたという悲惨な体験に起因する男性への複雑な憎悪が反映しているといわれている。
たしかに、女性一人では大の男の首をはねることはできないから、侍女と二人がかりで「力を合わせて」いる画面からは、あらゆる現実をつぼのように融合した、生きる悲しみ、苦しさ、等々の言葉を費やしても余りある、人間の「情念(パトス)=生きることの受苦」が伝わってくる。
でも私としては、やはり絵画の題材は、天上的なもの、この世ならざる平和なもの・美しく静寂で神聖なもの、であってほしいとおもいました。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、常設展には、青い衣装をまとった限りなく美しい「悲しみの生母(スターバト・マーテル)」が展示されていました。

