いい映画でした。アカデミー賞受賞、納得です。
予告から、そして題材から、真面目で暗くてかっちりとした映画なのかと思っていたら、全然違いました。穏やかで、気持ちのいい映画です。
この映画は納棺師のお話です。つまり、遺体を棺に収める仕事のことです。だからといって、正直この映画から納棺師になろうという人は少ないと思います。そんな気持ちではなれないだろう職業だからです。でも、きっと職業や死に対する見方は変わると思います。それこそが大事だと私は思うのです。
納棺師が題材ということで、当然メインテーマは命ですが、意外なことにクスクス笑ってしまうユーモラスなシーンも満載でした。それでも、生と死、残される者といってしまう者、夫婦愛や親子愛を真摯に描き、心がじんわりしたから自然と涙が溢れた感じです。重すぎず、軽すぎず、誠実な映画、それがこの作品の印象でした。
また主人公がチェロを弾くシーンには感嘆としました。そしてジブリ映画等でもお馴染みの久石譲の音楽が素晴らしかった。
キャストも全員無駄なしです。特に本木雅弘さんは素晴らしいです。彼は言葉を発せずとも、何かを伝えることができる役者ですね。それくらい本木さんの納棺に対する姿勢は美しく見事でした。
人間、産まれてくれば遅かれ早かれいつかは「死」と向きあわなければならない。分かってはいるのですが、実感は少ないと思います。でも、実感はなくとも、事実なんですよね。
この映画を観て、人の死はかなしいけれど、こんな風に送り出してあげられたら故人もうかばれるのではないかと思いました。
死があるから、生きることはこんなにも素晴らしい。死も含めて自分の人生を最後まで一生懸命生きていこうと思いました。