米国リウマチ学会は10月24日より29日にかけてサンフランシスコで開催されています。当該学会で、米ボストンにあるタフツ・メディカルセンターの研究グループの発表で、中国の伝統的な運動として知られる太極拳は、変形性関節症の治療に有効であることが示唆されました。
研究グループは、太極拳には筋肉の機能やバランス、柔軟性を強化するだけでなく、痛みやうつ状態、不安などを和らげる効果が期待できるとし、変形性膝関節症の治療に適しているとの仮説をたて、比較試験に取り組みました。
対象は、年齢>55歳、BMI≦40kg/m2で、試験の前月はほぼ毎日膝の痛みを認め、脛骨大腿骨変形性関節症でK/Lグレード≧2の条件に該当する40人をエントリーしました。対象者は、太極拳を実施する太極拳グループ、またはストレッチとウェルネス教育に取り組むグループに無作為に割り付けました。その上で、60分間の運動治療を週2回、12週間実施しました。なお、両グループで、治療開始前の患者背景、X線スコア、結果測定値に有意な差はありませんでした。
試験の12週目でのWOMAC疼痛スコア評価を行いました。副次的評価項目は、WOMAC機能、医師と患者による総合評価(VAS)、椅子起立時間、バランステスト、自己効力感、健康状態に関連した生活の質(SF-36)などに設定しました。
これらの評価を24週目と48週目でも実施し、反応の永続性を調べました。太極拳グループと対照グループは、tテストを使って包括解析によって比較しました。
その結果、12週間の評価では太極拳の参加者は、痛み、身体機能、自己効力感、健康状態に有意な改善を示しました。たとえば、WOMAC疼痛スコアの12週目での変化は、太極拳グループは-157.3だったのに対し、対照群では-38.5と有意(p=0.0004)に太極拳グループの方が減少していました。また、12週目以降も太極拳運動を続けた患者からは、WOMAC疼痛とWOMAC機能に永続的な効果が見られました(詳細データ省略)。
これらの結果から演者らは、「太極拳は重度の変形性膝関節症の患者の痛みと身体障害の治療に効果があることが示唆された」と結論付けました。さらに「今後も研究を継続し、太極拳による治療法についての理解を深める必要がある」と締めくくりました。