NHKテレビの番組、「クローズアップ現代」の今日の話題は、1.糖尿病患者の血糖値測定器具の「使い回し」の実態、2.その発生原因の一つである、厚生労働省通達の伝達の不備の実態、3.さらにはそのような信じがたい事態を招いた原因、でした。そのような番組が指摘した問題点は、4.医療現場の不注意(正確に言えばプロとはいえない、無知)、5.都道府県レベルでの、厚生労働省通達の、医療現場への伝達体制の杜撰、の二点であり、結論としては、それらが糖尿病患者を、血液によって感染するさまざま病気の危険にさらした、ということが結論でした。
番組をみていて、当事者たち(すなわち官吏、医療従事者、の無能と無責任さにあらためて憤りを覚えるとともに、それとは裏腹に、このような状態では、何度悲劇を繰り返しても「医療事故」という名前の殺人行為は永遠に無くならないだろう、という絶望感がこれまで以上に深まりました。
それと同時に、もしもおなじような「事故」が食品が原因となって引き起こされたならば、きっと「袋叩き」的な攻撃が、マスコミを中心として全社会から加えられるはずなのに、なぜ、医療に関わる問題となると、従来も、今回も、ほとんど意図的としか思われないほどに、まずは隠蔽され、それが明らかになってもなお、食品ほどには、官吏や、個々の医療機関に対する必要最小限の責任追及さえ行われないのだろう、という疑問が、憤りを通り越した「無力感」とともにわき上がってきました。
この、静かな秋の夜のひとときを、理不尽な不幸に見舞われた中国古代の歴史家・司馬遷が発した、「天道、是か非か(正義はあるのかないのか、おそらくは存在しないのだろう)」という言葉を心の裡で繰り返しつつ、モーツアルトのクラリネット協奏曲、第二楽章をせめてもの慰めとして聴きながらすごすことにしましょうか。