日経メディカル オンライン本田宏(済生会栗橋病院副院長)ブログを紹介します。
・・・日本資本主義の神様と言われる渋沢栄一氏の「論語と算盤」の本に、渋沢氏は、「道徳経済合一論」の真骨頂である「金儲けだけではだめだ、論語に立ち返って社会貢献も考えなければならない」という、素晴らしい主張を展開されていますが、同書の「時期を待つの要あり」に以下のことを書かれていました。
(前略)私は日本今日の現状に対しても、極力争ってみたいと思うことがないでもない、いくらもある、なかんずく日本の現状で私の最も遺憾に思うのは、官尊民卑の弊がまだ止まぬことである、官にある者ならば、いかに不都合なことを働いても、大抵は看過されてしまう、たまたま世間物議の種を作って、裁判沙汰となったり、あるいは隠居をせねばならぬような羽目に遭うごとき場合もないではないが、官にあって不都合を働いておる全体の者に比較すれば、実に九牛の一毛、大海の一滴にも当らず官にある者の不都合の所為は、ある程度までは黙許の姿であるといっても、あえて過言ではないほどである。
これに反し、民間にある者は、少しでも不都合の所為があれば、直ちに摘発されて、忽ち縲絏の憂き目に遭わねばならなくなる、不都合の所為あるものはすべて罰せねばならぬとならば、その間に朝にあると野にあるとの差別を設け、一方は寛に一方は酷であるようなことがあってはならぬ、もし大目に看過すべきものならば、民間にある人々に対しても官にある人々に対すると同様に、これを看過してしかるべきものである、しかるに日本の現状は今もって官民の別により寛厳の手心を異にしている。
皆さんは、この文章をお読みになっていかがお感じでしょうか。この前に、ある医系技官が「国民や政治家に、正しい判断ができると思いますか」との発言が(2008.8.26「国に洗脳された!」―地方大学元学長の証言
)、まさに彼の中には「官尊民卑」の考え方が脈々と生きているのです。
社会保険庁のずさんなデータ管理、いくら問題とされても減らない天下り…。先日の福島県立大野病院事件では、過酷な労働環境で一生懸命に努力していた一勤務医が、強引な手法で逮捕されましたが、逮捕した側は全くのおとがめなし、逆に逮捕時には表彰までされたと聞いています。
日本は21世紀の民主主義国家のはず…。でも、私たちが官僚に頼りきって「官尊民卑」を許していたのでは、医療ばかりか日本が崩壊する――。渋沢栄一氏のお顔を思い浮かべながら、暗たんたる気持ちになりました。