2025年6月20日

鹿屋にある富久屋さんを訪問しました。こちらは海軍御用達のお菓子屋さんで、特攻隊員が飛び立つ前の最後に食べていたと伝わっています。

お迎えくださったのは、当時5・6歳だった北村馨さん。特攻隊員たちに非常にかわいがられ、お馬さんをして遊んでもらったりと、毎日のように親しく接していたそうです。

上官の方々も、馨さんを目の前にすると目じりが下がり、厳しい表情がほどけたと言います。

毎日の緊張と覚悟の中で、馨さんは癒しの存在だったのでしょう。若い隊員たちも、その笑顔の前では、ただの青年に戻れた。

富久屋さんの「海軍タルト」は、飛行士が操縦桿を握ったまま片手で食べられるようにと、硬さや形が工夫されて作られたお菓子です。

その設計の背景を聞いたとき、胸が苦しくなりました。

果たして、死を目前にして、食べられたのだろうか。

答えは、もうどこにもない。

馨さんから直接聞けたこと、富久屋さんが今も続いていること。生きた記憶はこうして紡がれていくのだなと思いました。