きょうで8月も終わりですが、まだまだ暑い日が続いていますね。
8月15日の終戦日をきっかけに、今年も戦争に関わる本を読み返しました。
城山三郎の「落日燃ゆ」です。
この『城山三郎 昭和の戦争文学』(角川書店、平成17年)の発行以前にも新潮社から単行本や文庫本で何冊か発行されています。
大東亜戦争(太平洋戦争)の終戦の後に、戦勝国の連合国が後追いで「平和に対する罪」を定めて、それによって戦争犯罪人であるとしてA級戦犯に指定され、東京裁判において、ただ一人文官でありながら絞首刑となった元首相・元外相の広田弘毅の生涯が描かれています。
本来、法には不遡及の原則があり、法令の施行時以前には、その効力が遡って適用されないということになっていますが、それが無視されて、あらたに規定された「平和に対する罪」により裁かれたという、如何にも理不尽な罪を着せられ死刑になりましたが、広田本人は戦争責任を感じていたことから一切反論せず甘んじて判決を受け入れたとして描かれています。
この小説を通じて、城山三郎の訴えたいことは、軍部独走を許した国家構造の危うさを描くことで現代への警鐘として示したとされるのが一般的ですが、私の感想は違います。
城山のどの作品を読んでも描かれる人間は高い志をもつ人物であって、大義や組織の目的と自分がもつ志のはざまで生き抜いていく姿が描かれています。
ですから、城山三郎は、高潔で確固たる信念を持った広田という人物を描くことで、大義や組織に翻弄されながらも、日本人たる強い姿勢や精神力を持てと強く主張しているのだろうと思います。
その典型が『男子の本懐』(新潮社、1980年)のタイトルであり、日本人、特に政治家や公務員に宛てたメッセージともいえるのではないかと思います。
「心」という文字が背景に見える城山の写真です。
城山 三郎(しろやま さぶろう)。名古屋生れ。本名杉浦 英一(すぎうら えいいち)。
1927年(昭和2年)~2007年(平成19年)。



