【コロナワクチン】厚労省の確保量は「根拠不十分」 会計検査院が指摘(2023年3月29日)
国の新型コロナワクチンの接種事業を巡り、会計検査院は厚労省が確保したワクチンの量について「根拠が不十分」などとする報告書を発表しました。
会計検査院によりますと、国の新型コロナワクチンの接種事業では2020年度からの2年間でファイザーなど4社から8億8200万回分のワクチンを確保し、支出額は4兆2000億円に上りました。
しかし、厚労省の資料にはなぜこれだけの量を確保したかの根拠が十分に記載されていませんでした。
会計検査院は厚労省に対し、算定根拠の資料を作成し事後に検証できるよう求めました。
厚労省は「資料に記載せず、口頭で説明した部分が『不十分』との指摘を受けたと認識している」としています。
また、検査では自治体からの要望が少なく確保した量のおよそ半分をキャンセルしたアストラゼネカのワクチンについて、アストラゼネカ側からの返金額が妥当であるか、厚労省が確認していなかったことも明らかになりました。
コロナワクチン「大量廃棄」問題
厚労省の「判断ミスと怠惰」がもたらした過剰契約と接種会場での無駄遣い
女性セブン2023.04.18 16:00
https://www.news-postseven.com/archives/20230418_1859684.html?DETAIL
厚生労働省が「マスク着用は個人の判断」と“解禁”してはや1か月、日本でもようやくアフターコロナが本格化してきた。それでも街ゆく人にはマスク姿が多く、花見客にもマスク姿が目立ち、まだまだ様子見の日が続きそうだ。
新型コロナウイルスのワクチン接種も依然として続く中、WHO(世界保健機関)が3月28日に新たな指針を発表した。
60才未満の健康な成人や基礎疾患のある子供については、1回までのブースター接種(追加接種)は推奨するが、2回目以降は《公衆衛生上の効果は比較的低い》として推奨しない。さらに、健康な子供や若者は感染時に重症化しにくいため《接種による公衆衛生上の効果は、はしかなどの従来の子供向けワクチンと比べ、はるかに低い》としたのだ。
日本では、大型連休明けの5月8日から基礎疾患のある人や65才以上の高齢者などを対象に今年度の定期接種がスタート。9月からは一般向けの定期接種が行われ、多い人は6回目の接種となる。
「WHOは、高齢者などリスクが高い層には引き続き接種を推奨しています。健康な人に追加接種をするなと言っているわけではないが、定期的な接種はハイリスクな層に重点的に行う方がいいということでしょう。健康に不安がない人や子供にも積極的な接種を推進する日本政府は、ハシゴを外された格好です」(医療ジャーナリスト)
国民全員が7回接種できる量を2兆円超で契約
日本ほどコロナワクチンを接種している国は世界にない。国民1人あたりの接種回数の国際比較を見ると、日本は平均3.09回で断トツに多い。コロナで多くの死者を出したアメリカが2.02回、欧州で最も接種回数が多いイタリアでも2.43回だ。
世界がアフターコロナに向かってワクチンと距離を取り始めているのに、日本政府が国民へのワクチン接種に熱心なのはある事情があるという。大手紙の社会部記者が言う。
「政府は2.4兆円をかけて8.8億回分のワクチンを購入。国民全員に7回接種できる量です。しかし、現在までの総接種回数は約3.8億回にとどまり、ワクチンには有効期限があるので、すでに8000万回分近くが廃棄された。一部契約解除した分もあるが、年内を目処に接種しないと残りの大半を廃棄しなければならなくなる計算です。そういう状況なので、“過剰契約の在庫処分のために接種が推奨されているのではないか”といううがった見方まで出る始末です」
この「ワクチン買いすぎ問題」は会計検査院が詳細に調査し、3月29日に発表した報告書でこう問題視している。
《今後、数量に不確定要素のある物質を確保する場合であっても、算定根拠資料を作成して保存し、数量の妥当性を客観的に検証できるようにすること》
8.8億回という契約回数分には納得できるような根拠はなく、なぜこのような数字に至ったのかちゃんと説明せよ、という指摘だ。要は、税金でテキトーに買ったのではないかという話なのだ。
これを受け、加藤勝信厚労相は「希望するすべての国民にワクチンをお届けできるよう、さまざまな可能性を視野に入れて確保を行った。そうした状況を考えれば(確保した量は)必要だった」との見解を示したが、実情はそうではない。
契約した8.8億回分のワクチンのうち、すでにアストラゼネカ製6225万回分をキャンセル、ノババックス製も1億4176億本分をキャンセルしており、そもそも過剰だったことが疑われ、到底「妥当」とはいえない。
さらに、キャンセルによる返金額も「契約上の守秘義務」を理由に明らかにしていない。会計検査院はそのことも、「同省に返金することになっている金額の妥当性を確認するよう努めること」と注文をつけたが、明らかにされるかどうか保証はない。
ガラガラの会場に大量のスタッフで総額4兆円
いずれにせよ、国はまだ3億回分ほどのワクチンの在庫を抱えている計算で、このままでは国民の税金で購入したワクチンが大量に廃棄されることになりかねない。なぜ、政府は“無駄”なワクチンをこれほど買い込んだのか。医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広医学博士がこう指摘する。
「厚労省の判断ミスに尽きます。コロナの感染が広がった当初、製薬メーカーのファイザーが世界各地でワクチンの治験をする際に日本も候補地にあがっていたのに、厚労省が外国企業だからと安全面での条件などを設定したため治験地から外れました。治験を進めていた他国はワクチンをどんどん先に購入していったが、日本はいざファイザーから購入する際に改めて治験することになって契約が遅れた。
メーカーは供給契約が早い方から供給するため、契約が遅れた日本ができるだけ早くワクチンを調達するには、大量に購入して高い金額で買う必要があったのでしょう」
必要量を先に確保するワクチンは、状況が変われば当然不要になる可能性もある。上さんは「足りないとまずいと考えるか、余らせるのが悪いと考えるかの違い」としながらも、こう続ける。
「会計検査院は『それ以上の説明がなかった』と厚労省の対応も問題視しています。同省にすれば、“出足が遅れたから契約量も増やして確保した”と言えば自分たちのミスを認めることになるため、黙っているのでしょう」(上さん・以下同)
ワクチン接種をめぐる“無駄遣い”はそれだけではない。
国のワクチン購入費は1回分約2700円だが、それとは別に、医療機関に支払う接種費用が1回平均3700円かかっている。自衛隊や自治体、企業が設置した接種会場の人件費や設営も当然税金だ。接種会場には多くのスタッフを配置し、接種を受けるまでに何度も書類の確認を要した。「いったい何人のチェックが必要なのか」とため息をついた人も多いことだろう。
それらを含めてワクチン接種には昨年度までの2年間で総額4.2兆円の税金が使われた。
「これも厚労省の完全な怠慢です。ワクチン接種が開始されたとき、国立病院などの医師たちに真っ先に接種させた一方で、一般人のために病院を接種会場にするような段取りはとらなかった。厚労省が全国の国立病院で大々的に接種に従事するよう通達を出せばよかったのに、それをしなかったわけです。
それで自治体などが大規模接種会場を設置して民間委託することになった。結果的に余分な費用がかかったのは、厚労省が動かなかったことが大きいと考えます」
廃棄や、不良在庫となった大量のワクチンと、過剰人員で人件費などがかさんだ大規模接種会場など、これまでに「ワクチンだけで少なくとも数千億規模、会場費など含めれば1兆円近くの税金が無駄になる可能性がある」(前出・社会部記者)との見方もある。
政府の尻拭いのために、後先考えず国民への同意もなく使用されたカネは、いずれ増税となって国民に請求書が回ってくるのは確実だ。
※女性セブン2023年4月27日号
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コロナワクチン確保量 算定根拠 十分に確認できず 会計検査院
NHK 2023年3月29日 17時42分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230329/k10014023311000.html
4兆円余りに上った新型コロナウイルスのワクチンの接種事業について、会計検査院は、国が確保することにしたワクチンの量の算定根拠が十分に確認できないとして、「必ずしも適切とは認められない」と指摘しました。
新型コロナウイルスのワクチンは、厚生労働省が複数のワクチン製造販売会社と契約を結び、接種の実施費用を含め、令和2年度と3年度の2年間でおよそ4兆2000億円が支出されています。
ワクチンの契約数は最大で8億8200万回分に上りましたが、会計検査院が調査した結果、厚生労働省の当時の資料には確保を決めたワクチンの量の算定根拠が十分に記載されていなかったということです。
このため、検査院は「必ずしも適切とは認められない」と指摘し、今後は、緊急時でも、事後に判断の妥当性を検証できるようにするよう求めました。
さらに納入前にキャンセルしたワクチンのうちアストラゼネカの6225万回分の返金額について算定根拠の確認をしていなかったことも分かりました。
別の製造販売会社のものを含めると、キャンセルしたワクチンは合わせて2億回余りに上り、検査院は、今後それぞれと行う返金の交渉では金額の妥当性を確認するよう求めました。
厚生労働省は「ワクチンは、開発の失敗などのリスクも考えた上で確実に接種できる量を確保したが、算定の根拠は資料だけでは分かりにくいところがあった。今後は事後に分かりやすい資料を適切に作成したい。キャンセルについては現在、企業と協議中なので、妥当性を確認しながら対応していきたい」としています。
会計検査院
「新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業の実施状況等について」
https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/5/r050329.html
会計検査院法第30条の2に基づく国会及び内閣への随時報告
令和5年3月29日 会計検査院
会計検査院は、令和5年3月29日、会計検査院法第30条の2に基づく国会及び内閣への随時報告を行いました。
「新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業の実施状況等について」
新型コロナウイルス感染症は、令和元年12月以降、その感染が国際的な広がりを見せており、我が国においても2年1月に感染者が確認され、その後、全国的に感染が拡大した。このような状況を受けて、政府は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種が、生命・健康を損なうリスクの軽減や医療への負荷の軽減、更には社会経済の安定につながることが期待されることから、ワクチンを確保したり、ワクチン接種に必要な物品を調達したりするとともに、ワクチン接種に係る事務の実施に必要なシステムの開発、都道府県及び市町村が行うワクチン接種に係る事務に対する補助金等の交付等の新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業を実施している。
新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業の実施状況等については、これまでに国民の多くがワクチン接種を受けており、また、多額の国費を投入して実施されている事業であることなどから、国会等において様々な議論がなされるなど、国民の関心が高いものとなっている。
本報告書は、以上のような状況を踏まえて、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業の実施状況等について検査し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
概要

報告のポイント






本文
「新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業の実施 状況等について」
全61ページ
https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/5/pdf/050329_zenbun.pdf