米側は、9月以降、
出国時のPCR検査を免除、
入国時の行動制限期間も日本の「14日間」より短い「10日間」で運用し、
期間中も基地内を自由に動ける運用を行っていた。
Japan: Okinawa locals express concern after Omicron outbreak blamed on US army base
2022/1/7
「コンビニエンスストアとか、
かなり多いもんですから、海兵隊の人たちが。
私たちはできるだけ入らないようにしてますけど。」
「マスクしないで海兵隊がそういう行動を起こしているってことが、
コロナの感染を広げたんじゃないかという。
日本政府の方も強く言っていかないとダメだと思いますよ。」
「マスクしてない人が多いですね。
飲食しながら歩いていたり、
大きな声で笑いながら会話しながら歩いている米兵が沢山います。」
「大きなパンデミックをもったアメリカから多数、
検疫もパスポートコントロールもなく入ってきてるということに、
とても不安を感じています。」
「入院するベッド数も少ないですし、
それが逼迫している状況になってしまって
いまとても怖い気持ちでいっぱいです。」
岸田首相も米軍に憤慨 広がるオミクロン株、地位協定という穴 。
毎日新聞 2022年01月06日
米軍基地が集中する沖縄県で新型コロナウイルスの感染が急拡大している。感染力の強い変異株「オミクロン株」が基地を経由して市中に広がった可能性が高く、5日の県内の新規感染者数は昨夏の緊急事態宣言中以来となる600人台となった。同じく基地がある山口県でも感染者が急増しており、日本の水際対策が米軍に適用できない日米地位協定の規定と米軍の甘い感染防止対策が、国内のオミクロン株流行を早めた形だ。
「オミクロン株の感染が市中でも確認され、倍速の勢いで置き換わりが進んでいる」。沖縄県内での急速なオミクロン株感染拡大を受け、まん延防止等重点措置の適用を政府に要請する方向で検討している玉城(たまき)デニー知事は5日、まん延防止措置について経済界の意見を聞く会議に出席し、強い危機感を示した。
感染の第5波が全国を襲った2021年夏には人口当たりで全国最悪の感染状況が続いた沖縄県だが、11月以降は1日当たりの新規感染者数がゼロか1桁、多くても十数人にまで落ち着いていた。ところが、12月23日ごろからじわじわと増え始め、年明け3日には130人、4日に225人、5日に623人と、ここにきて2倍、3倍と加速度的に増え続けている。
発端は米軍基地での感染拡大だ。21年12月上旬に米国から米軍嘉手納基地(嘉手納町など)を経由してキャンプ・ハンセン(金武町(きんちょう)など)に入った米海兵隊員の部隊で大規模なクラスター(感染者集団)が発生。在日米軍から日本政府への報告では、47%がオミクロン株による感染だった。県の発表によると、ハンセンでの感染者は12月15日以降、計515人に上るほか、感染は他の基地にも飛び火し、1月5日までにキャンプ瑞慶覧(ずけらん)(北谷町(ちゃたんちょう)など)で97人、嘉手納基地で87人の感染者が確認されている。
米軍内での感染拡大は基地で働く日本人従業員にも波及している。防衛省沖縄防衛局によると、12月16日以降、25人の基地従業員の感染が確認された。県は基地従業員を対象に集中的にPCR検査を実施して封じ込めを図ったが、年末には基地と関わりのない感染者が確認され、年明け以降は市中感染が爆発的に広がった。1月2日に記者会見した玉城知事は基地従業員と同じ系統のオミクロン株が市中で広がっていることを図で示し、「米軍からのしみ出しが感染拡大の要因になっていることは間違いない」と明言した。
基地から周辺住民に感染が広がる状況は米軍岩国基地がある山口県岩国市も同じだ。岩国基地では5日、過去最多となる182人の感染が確認され、21年末以降の米軍関係者の感染者数は計422人になった。
一方、この人数とは別に県が5日に発表した県内の新規感染者数は約4カ月半ぶりの100人台となる104人で、うち70人は岩国市在住だった。県によると、同市では過去2週間に計230人の感染が確認されたが、うち61人はクリスマス前後に米軍関係者が数多く利用した繁華街の飲食店などの従業員と利用客だった。
岩国市の福田良彦市長によると、オミクロン株に感染した基地従業員と飲食店関係者のウイルスゲノム(全遺伝情報)のタイプが同一だった例もあり、市長は「感染拡大防止のため県、市、米軍が同じ思いで闘わないといけない」と強調した。
米軍と世論で政権板挟み
「政府としては引き続き米側に対し、感染症拡大防止のための措置を一層徹底するよう求める」。松野博一官房長官は5日の記者会見でそう強調したが、日米地位協定という「壁」が立ちはだかり、在日米軍に対しては対策徹底を求めるしか手がないのが実情だ。
政府は新型コロナの封じ込め策として、海外からの入国者を制限するなどの水際対策を続けてきた。だが、海外から軍用機などで入ってくる米軍関係者は規制の対象外となる。協定は在日米軍と米軍関係者らの法的地位を定めた取り決めだが、米側に大きな権限が与えられ、日本の主権が事実上及ばないためだ。
新型コロナの感染拡大を受け、日米両政府は20年7月、在日米軍が日本の水際対策と「整合的な形」で「包括的かつ厳格な健康保護政策を実施」すると発表した。日本側の規制を米側が自主的に実施する合意だ。
ところが合意が守られたとは言いがたい。●米側は21年12月21日、日本側の照会に対し、9月以降、出国時のPCR検査を免除、入国時の行動制限期間も日本の「14日間」より短い「10日間」で運用し、期間中も基地内を自由に動ける運用を行っていたと報告した。いずれも日本の規制より甘い対応で、憤慨した岸田文雄首相は林芳正外相に「最大限抗議しろ」と指示。林氏は翌22日、ラップ在日米軍司令官に電話で「遺憾の意」を伝えた。
ラップ氏は林氏に対し、検査の徹底や入国後の行動制限期間を14日間に拡大するなどの方針を告げた。だが、この方針は法的根拠に基づく確約ではない。「いくら水際対策を強化しても、米側の対応が甘ければ穴が開いているのと同じだ」。外務省幹部は漏らす。
玉城知事は2日の会見で「県の危機意識が米軍に共有されていない。激しい怒りを覚える」と指摘。「日米両政府はこの問題を矮小(わいしょう)化せず、日米地位協定の構造的な問題だという意識を持ってほしい」と強調した。ただ、政府は見直し自体には消極的だ。
北朝鮮に加え中国の台頭により日本周辺の安全保障環境は一層緊迫化しており、在日米軍をはじめ米軍との連携強化は急務となっている。こうした中で米側の「特権」を見直せば日米関係に悪影響を与えかねない――と懸念するためだ。
重要性を増す米軍だが、政府内では「このままでは米軍に対する国民感情が悪化しかねない」(同省関係者)との声も漏れる。米軍と世論のはざまで、政権は板挟みの状態となっている。【遠藤孝康、喜屋武真之介、平塚裕介、宮島寛、中村紬葵】