『番犬は庭を守る』岩井俊二 ~放射能とペニス | ☆Dancing the Dream ☆

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『番犬は庭を守る』
岩井俊二が、『四月物語』(1998)が終わって
『リリイ・シュシュのすべて』(2001)を制作するまでの空白期間、
3.11以前に書かれた小説が、
3.11以後、2012年に出版された。


原子力発電所が爆発し、
臨界事故が続発するようになった世界では、
放射能汚染による精子の減少と劣悪化が深刻な問題となっていた。

優良精子保有者である「種馬」の精子は
民間の精子バンクが高額で買い上げ、
その一家には一生遊んで暮らせる大金が転がり込んで来る。

一方で、第二次性徴期を迎えても生殖器が大きくならず、
セックスのできない不幸な子供たちは「小便小僧」と呼ばれていた。

高校を卒業し、警備保障会社に就職をした小便小僧のウマソーは、
市長の娘に恋をした罰として、
使用済みの核燃料や放射性廃棄物で溢れる、
廃炉になった原発を警備することになる。

やがてウマソーの性器は徐々に失われ…。
人々が原子力を選んだ結果、生まれてしまった世界。
だが、それでも紡がなければならない未来がある―。

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映画監督・岩井俊二さんの作品は、
ほとんど見ているかもしれない。

昔、一枚のチケットを買うと、
一度の上映でお客さんが追い出されたりせず、
何度も繰り返し見れるシステムだった頃は、
岩井監督の作品は、映画館を去りがたく
繰り返し観ては余韻に浸った。

岩井俊二という人も、
作品と同じ空気を纏い
その佇まいには、
他人とは思えない親和感を感じてしまう。

こういう感覚を他に感じるのは、
トーベのスナフキンくらいだ。

さて、『番犬は庭を守る』は、映画監督・岩井俊二が描く
原発事故が発生した架空の国の未来像。
惨憺たるデストピアSF小説だ。
けれど、どこか調子の外れた自由な風が吹き、
小さく切ない密度の濃い命が揺れている。

この小説に出で来る不思議な語感の固有名詞、
人の名前や地名には、
ルイス・キャロルの言葉遊びのような
謎かけが含まれているのかもしれない。

主人公の名前は、「ウマソー・イアザット」
ローマ字に直すと、UMASO IAZAT
逆さから読むと、タザイ・オサム・・太宰治。

散りばめられた地名を同じように読むと、
アルミアコット ARUMIAKOT 東海村
アルモシャコル ARUMOSHAKOR 六ヶ所村 
オユコット OYKOT 東京

ウマソ―のように、
放射能のせいで「小便小僧」になってしまった男の子は、
庭を守る番犬なのだ。

彼らは、温かなお家の「お外」の
寒くて暗くて怖い場所 遠いお庭につながれた番犬。
ちゃんとした家庭がちゃんと幸せに暮らせるように。


この架空の未来で、
女の子の番犬はいないのかしら?
きっといるだろう。

昔は、女・炭鉱夫もいたのだから。
7歳から父について兄とともにヤマで働いた
ヤマの絵師・山本作兵衛の絵を思い出した。





山本作兵衛さんが、働いていたのは筑豊炭鉱だ。
筑豊と言えば、麻生太郎の父親が経営していた麻生炭鉱。

麻生炭鉱は、三菱系に次ぐ黒い商売をしていた。
戦争捕虜の主に朝鮮人や被差別部落民などの労働者をタコと呼び、
タコ部屋に監禁して劣悪な環境の中で働かせ、
暴利をむさぼり、労働争議となった。

山本作兵衛さんの炭鉱記録画は、
2010年、ユネスコの世界記憶遺産に登録された。

安倍は、
中国の申請した「南京大虐殺」の資料が、
世界記憶遺産に登録されたことに腹を立てて、
ユネスコにお金を出さないと言っているらしい。
全く恥ずかし過ぎる。

目の前で起こっていることさえ、
認めようとせず、シラを切るのだから、
もはや、この人には、何を言っても通じない。

なぜ通じないのか?
この人たちは、黒を白と言ってまかり通る
特権が自分たちにはあると思っているのだろう。
閨閥でできあがった特権階級という意識か。

ふと思う。

原発事故が起きた世界の未来は、
高値で売買されるほど、精子が減少するのだとしたら、
だんだんと近親交配に近づいて、
劣性遺伝子を持つ可能性が高くなるわけだが、

安倍、麻生らのような、
いわゆる閨閥にも、同じことが起きるのではないか?

少数の血縁の小さなサークルで、
富を独占するけれども、
富を守らんがために、余所者は排除し、
徐々に内向きになっていく。
そうすることで、おそらく近親交配に近づいていくだろう。

これでは、
欲張って、身内だけで富を独占しようとしても、
結局、滅びに向かうのではないだろうか?

天皇家が、民間の子女を結婚相手に迎えるようになったのも、
近親交配を避けるためなのかもしれない。

どんなに分断、差別化しようとし、独占しようとしても、
世界は何もかもつながっているのだ。
自然は、うまくできている。