宮沢賢治の青 | ☆Dancing the Dream ☆

☆Dancing the Dream ☆

Let us celebrate
The Joy of life ♡
with ☆Michael Jackson☆



   ああたれか来てわたくしに云へ

   「億の巨匠が並んで生まれ、

   しかも互に相犯さない、
 
   明るい世界はかならず来る」と   *億の巨匠=市井の凡人の偉い人 

                 「春と修羅」下書き稿一の原稿の余白より






   いかりのにがさ また

   四月の気層のひかりの底を

   唾し はぎしりゆききする

   おれはひとりの修羅なのだ

                 「春と修羅」より



私の世界に黒い河が速にながれ、

沢山の死人とい生きた人とがながれを下って行きまする。

人は長い手を出して烈しくもがきますがながれて行きます。

人は長い長い手をのばし前に流れる人の足をつかみました。

また髪の毛をつかみその人を溺らして自分は前に進みました。

あるものは怒りに身をむしり早やそのなかばを食ひました。

溺れるものの怒りは黒い鉄の瓦斯となり

その横を泳ぎ行くものをつゝみます。

流れる人が私かどうかはまだよくわかりませんが

とにかくそのとほりに感じます。

                     (1918年10月1日)保阪嘉内あて 葉書
                                                宮沢賢治



お互にしっかりやらなければなりません。突然ですが。

私なんかこのごろは毎目ブリブリ憤ってばかりゐます。

何もしやくにさわる筈がさっぱりないのですか

どうした訳やら人のぼんやりした顔を見ると、

「えゝぐづぐづするない。」いかりがかっと燃えて

身体は酒精に入った様な気がします。

机へ座って誰かの物を一言ふのを思ひだしながら

急に身体全体で机をなぐりつけさうになります。

いかりは赤く見えます。

あまり強いときはいかりの光が滋くなって却て水の様に感ぜられます。

遂には真青に見えます。確かにいかりは気持が悪くありません。

関さんがあゝおこるのも尤です。

私は殆んど狂人にもなりさうなこの発作を

機械的にその本当の名称で呼び出し手を合せます。

人間の世界の修羅の成仏。そして悦びにみちて頁を繰ります。

本当にしっかりやませうよ。

                      (1920年6月~7月)保阪嘉内あて 封書  
                                                 宮沢賢治