高畑勲監督「アメリカが日本を戦争できる国にしたがってるのだと思います。」 | ☆Dancing the Dream ☆

☆Dancing the Dream ☆

Let us celebrate
The Joy of life ♡
with ☆Michael Jackson☆

『火垂るの墓』監督 高畑勲さん


日本が戦争に負けた1945年8月には私は国民学校4年生でした。9歳でしたが、その年のうちに10歳になりました。生まれたのが満州国ができて3年後の1935年、すぐ日中戦争がはじまり、太平洋戦争に突入し、この9歳のときに人生最大の事件に遭いました。空襲です。

住んでいた岡山市は6月29飛の未明、B29による空襲で、市街地の大半が失われました。私は7人兄弟の末っ子で、父母と子ども5人で暮らしていたのですが、私はすぐ上の6年生の姉と二人、家族とはぐれ、街の中心に向かって逃げたため、自分たちの真上に文字通り火の雨が降ってくるところから、家々が燃えはじめ、遂にまわりが全て燃えさかり、どこへ逃げたらよいやら進退窮まるまでを体験しました。焼夷弾に混じって爆発する中型爆弾の破片にやられて姉が失神したり、二人とも死んでもおかしくなかったと思います。

自分たちが通ってきたところはすべて焼け野原となってしまいました。すごい数の死体の死体を見て、震えが止まりませんでした。恐ろしくて入らなかった防空壕で多くの人が蒸し焼きになってしまいました。自分の家の前で溝川にも水に浸かったまま窒息死をしている人が何人いました。あんな恐ろしい体験は二度としたくありません。

生まれてから約10年間は戦争の時代でした。そしてその後、10歳から70歳に至るこの60年間、おかげさまで平和を享受できたことを心から感謝しています。平和は誰のおかげでしょうか。やはりまず第一にあげたいのが憲法第9条なのです。

いまアメリカがやっきになって日本を戦争できる国にしたがっているのだと思います。そしてその邪魔になる憲法第9条の改定を要求していて、アメリカに寄り添っていなければならない日本国は立ちゆかなくないと考える人々が、国民が再び『血を流す』ことを可能にしようとしているのではないでしょうか。

歯止めをかける能力は今のひどい、最低のアメリカよりも、日本国民はもっと低いのではないかと思います。民主主義の意見の違いを許す度量、あるいは人と違うことをする人間を認める度量、そのどれをとっても、歴史的に異分子を排除する、全員一致主義をとってきた日本の方が、アメリカよりずっと劣っているのではないでしょうか。多数派の中にいることで安心し、『いじめ』に見て見ぬふりをする子どもが多いことを見ても、現在もこの体質は全然変わっていないと思います。小泉の靖国参拝や郵政民営化に対する自民党議員の対応を見てもそうです。集団主義の私たちは、残念ながら、歯止めがかからなくて、ずるずる行きやすい体質をもっているのです。

第9条がなくなったら、どうなる可能性が高いのか、それを憲法と現実に合わせるべきだと思っている人々にも絶対に考えてもらいたいと思います。