子供の頃・・・
数人で、あっちへふらふら~、こっちへふらふら~~
道草を食いながら学校から帰るのは、極上の楽しみだった。
道端にしゃがみ込んで、小枝で地面に絵を描きながら
他愛もないことを喋ったり、
縦笛を吹きながら行進したり・・ のどか極まりない小学生。。
プールの授業のあった夏の日の帰り道などは、
ニュービーズで洗って、白く乾いた洗濯物のように
身も心も軽々と翻るような気分。
青い空に向かって眩しい太陽を見あげて目を閉じると
そのまま気持ちよく 後ろに倒れこんで笑い転げたい気分なのだ。わけもなく。
ときどき、探検をする。 少しいつもと違うルートを通ってみるのだ。
涼しくて 面白そうな道を。
ひんやりとした小道に沿って水路が流れ、ちょっとしたお屋敷が並ぶ道。
だいたいどの家にも裏口に向かって小さな石作りの橋が架かっている。
この橋で、川面を覗き込んで、藻がなびく様子や メダカの群れを見ていた。
戸口から年配のおばさんが出てきたので
皆で 「こんにちは~!」と言った。
すると、「あら!こんにちは!」
「だけど、ここで遊んじゃ駄目ですよ。」 と言われてしまった。
え?・・・川を見ちゃいけないの?
私たちがポカンとしているので、おばちゃんがまた言った。
「ここは人の敷地なのよ。ウチに入る為の橋なの。
それに落ちたら危ないでしょ」
え?そうなの?知らんかった。。。
一番チビの我が弟が、無邪気な天使面で、川面を指差して聞いた。
「これ、おばちゃんちのメダカ?」 あちゃ~!なにゆうとんねん!
ところが、ここで、おばちゃん大爆笑!!
「メダカは、誰のものでもないわね。メダカはメダカ。アッハハハハ!
今日は暑いでしょう。今、冷たいものでも持ってきてあげましょうね。」
お盆に乗ったカルピスを、氷をカラカラいわせて持ってきてくれた。
「ごっつぁんです!!」
「おばちゃん、ありがとう!」
その日以来、子供たちは、これに味を占めて、何度かごっつぁんになりに
「橋のおばちゃん」のところに寄り道をするようになったのだ。
ときどき、母からお持たせの果物やお菓子も持って行って、
応接間で、レコードをかけてもらったり、写真を見せてもらったりした。
小さい時のおばちゃんが、巨大なリボンをしていて・・
「大きなリボン!」と言って皆が笑うと、
「これは、まだとってあるのよ! おばちゃんの宝物をみせてあげようか!」
そう言って、花柄の丸い箱を持ってきて、その古いリボンや、
きれいなレースの手袋や、ハンカチ、
キラキラしたブローチなどをみせてくれた。
「橋のおばちゃん」は、時々、皆がぶったまげるほど、
大きな声で外国語の歌を歌ってくれた。
おばちゃんは、セイガクのセンセイだと母が言っていた。
弟はここの家で、オネムになって寝ちゃったこともあるな~
いつか、真面目な顔で、
「おばちゃんは、前に あの橋がウチの橋だと言ったけど、
ほんとの橋は皆に通ってきてもらうためのものなのよ。
メダカはメダカ。橋は橋。」
そんなことを言って、ニコニコ笑っていたことがあった。
どういう意味か ぜんぜん解らなかったけれど、
大人になって、今頃 解るな。。
お絵かき教室にやって来る
プール帰りの子供たちの頭に アゴをのせて 「どらどら~」と言いながら
まだ少し濡れた髪の 日向の匂いを嗅ぐのが好きだ。
ふと、遠い夏の思い出が蘇った。
また夏が来ますね。