これは、「メガネのマトバ」さんで実際にあったお話です。
その日、時計の針は午後6時を指そうとしていました。
閉店まで、あと2〜3分。
店内では、そろそろ片付けを始めようとしていた、その時です。
一本の電話が鳴りました。
電話の向こうから聞こえてきたのは、切羽詰まった男性の声でした。
「今からメガネを合わせに行ってもいいですか?」
そして続けて、こう言われたそうです。
「明日、必要なんです」
普通なら、もう閉店の時間です。
しかも、お店までは1時間ほどかかるとのこと。
今から来られるとなれば、到着するのは午後7時頃になります。
電話を取った的場社長は、店長に尋ねました。
「今からお客様が来たいとおっしゃっているけど、どうする?」
店長は笑いながら、こう答えたそうです。
「どうするかは、社長が決めることですよ
」
もう帰る時間なのに、申し訳ない。
的場社長はそう思いながらも、電話の向こうの男性が本当に困っていることを感じ取っていました。
そして、こう答えました。
「分かりました。今どちらですか?どれくらいかかりますか?」
「1時間くらいです」
それでも、的場社長と店長は店を閉めずに待つことにしました。
午後7時頃、男性が到着しました。
その表情は、不安と焦りでいっぱいだったそうです。
いったい何があったのか。
詳しく話を聞くと、その男性は、ようやくタクシー会社への就職が決まったばかりでした。
ところが、運転免許の「深視力検査」に引っかかり、免許を取得できなかったというのです。
普通の運転免許では、深視力の検査はありません。
しかし、タクシーやバスなどの運転に必要な二種免許では、物体の遠近感や立体感を見分ける「深視力」が求められます。
せっかくタクシー会社に就職が決まっても、免許がなければ仕事はできません。
生活がかかっています。
ご家族の暮らしもかかっています。
男性にとっては、単なる視力検査ではありませんでした。
これからの人生を左右する、大切な試験だったのです。
検査に落ちた男性は、どうにかならないかと必死でメガネ店を探しました。
インターネットで何軒も検索するうちに、「メガネのマトバ」を見つけたそうです。
そして、わらにもすがる思いで電話をかけてこられたのでした。
的場社長たちが男性のメガネを詳しく調べると、原因が分かりました。
メガネの度数が合っていなかったのです。
左右の目が正しく見えていなければ、距離感を正確につかむことができません。
当然、深視力も出にくくなります。
「メガネをきちんと合わせれば、深視力は出ます」
男性にとって、それは暗闇の中に差し込んだ一筋の光だったことでしょう。
実は、この深視力を測定するための機械は、どこのメガネ店にもあるわけではないそうです。
けれども、メガネのマトバにはありました。
実際に深視力を確認しながら、最適なレンズを合わせていきます。
そして、きちんと見える状態を作ることができました。
「これなら大丈夫です」
ようやく安心した的場社長が、何気なく尋ねました。
「それで、試験はいつなんですか?」
すると男性は答えました。
「明日です」
明日⁉
的場社長たちは驚きました。
通常、メガネを作るには、最低でも1週間ほどかかります。
今日レンズを合わせても、明日の試験には間に合いません。
原因は分かった。
見えるメガネも作れる。
でも、完成する頃には試験が終わってしまう。
どうするのか。
そこで的場社長たちは、ある決断をしました。
お店で検眼に使っているメガネを、男性に貸し出すことにしたのです。
お客様に販売するための商品ではありません。
本来なら、店外に持ち出すものでもなかったでしょう。
それでも、目の前で困っている男性を放っておくことはできませんでした。
「これをかけて試験を受けてください」
そして、こう伝えました。
「もし試験場で何か言われたら、こちらから説明します。困ったら電話してください」
翌日。
試験の時間が過ぎても、男性から電話はかかってきませんでした。
電話がないということは、きっと大丈夫だったのだろう。
そう思いながらも、的場社長は心配になり、男性に電話をかけました。
すると、電話の向こうから、弾むような声が聞こえてきました。
「合格しました!」
「今、免許証を受け取るところです!」
その知らせを聞いて、奥さまは泣かれたそうです。
どれほど不安だったことでしょう。
やっと決まった就職。
しかし、免許が取れなければ働くことができない。
これからどうすればいいのか。
ご夫婦で、眠れないほど悩まれていたのかもしれません。
閉店間際に店へ駆け込んできた時、男性の顔は、不安と焦りで暗く沈んでいました。
けれども、メガネを作って帰られる時には、表情はすっかり変わっていたそうです。
笑顔で、何度も感謝の言葉を伝えながら帰っていかれました。
私はこのお話を聞いて、胸がいっぱいになりました。
もしも、あの日。
閉店間際の電話に、
「もう閉店です」
「明日来てください」
と答えていたら、どうなっていたでしょう。
男性は翌日の試験に間に合わず、免許を取得できなかったかもしれません。
せっかく決まったタクシー会社への就職も、失っていたかもしれません。
男性だけでなく、ご家族の生活まで大きく変わっていた可能性があります。
一本の電話を受けるか、断るか。
たったそれだけのことに見えるかもしれません。
けれども、その時の的場社長と店長の決断が、一人の男性の仕事を守り、ご家族の未来を守りました。
メガネは、ただ物を見えやすくする道具ではありません。
正しく見えることが、仕事につながり、生活につながり、人生につながることもあるのです。
そして、人を救うのは、特別な技術だけではありません。
「困っている人を何とかしてあげたい」
その気持ちと、目の前の人に向き合う姿勢が、誰かの人生を変えることがある。
閉店間際に鳴った一本の電話。
あの電話に応えたことで、一人の男性は新しい仕事に就くことができました。
そして、ご家族は涙を流して喜ばれました。
これは、メガネを作っただけのお話ではありません。
一人の人間の人生を、見える未来へとつないだ物語です。
的場さんから話を聞いて私もウルウルしてしまいました。
感動のメガネの物語。
きっとたくさんあることでしょう。
またお届けしたいと思います。
メガネのマトバに行かれる際は必ず事前にお電話で、ご予約をお取り下さい。
初回はメガネを合わせるのに2〜3時間かかります。
あとの予定を入れずに行って下さいね。
そして初めて行かれる方はこちの記事をお読み下さい↓
たくさんの感動が詰まっているメガネのマトバ。
これからも感動の連鎖は続くでしょう。
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