医学的に正しいことが患者さんを幸せにするとは限らない | みのり先生の診察室

みのり先生の診察室

5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

大阪肛門科診療所は自由診療です。

保険が効きません。


保険診療の肛門科に比べると
治療費が高いです。


だから・・・
というワケではないのでしょうが

セカンドオピニオンの患者さんが
たくさん来られています。


中には何軒も肛門科を回ってから
来られる方もおられます。


また以前受診した肛門科で
手術注射療法を受けて、
治療が終わっているのに

 

困っている症状が取れないから
悩み抜いて受診される方も
結構おられます。


他の施設で
手術や注射療法を受けた患者さんを
診察していて

すごく疑問に感じることがあります。


それは


患者さんが訴えている症状と
医師が治そうとしているものが
一致しない

ということです。


このことについては
以前にも書きました↓

 

手術しても良くならないという場合 〜症状と病変の不一致かも〜

 

「あなたが治したいと思っているモノ」と「先生が治そうとしているモノ」は一致してる?


 

先日17年ぶりに患者さんが来られました。

 

17年前にうちの診療所で
(当時は「大阪肛門病院」でした)
入院手術を受けられた方でした。

 

手術で痔はキレイに治って
治療終了となっていました。


痔でもないのに
何も症状がないのに
わざわざ通ってもらう必要もないので、

 

手術を受けて完治された患者さんは
また肛門が悪くなって受診されます。

 

(最近は悪くならないよう
1年に1回
オシリ検診を受けられる人が
多くなってきましたが・・・)


この患者さんは
立派な脱肛だったのですが、
手術でキレイに治って
何事もなく過ごされていたようです。


ところが・・・

 

最近になって

 

排便後に
オシリをキレイに拭き取れないやる気なし
何度拭いても便が付くウキャー!

 

ということで
不便を感じるようになったそうです。

 

しばらくすると
キレイに拭き取れていないせいか
下着にも便が付くようになってきました。

 

 

歳をとってしまりが悪くなったんだろうか・・・

また痔になったんだろうか・・・

 

と悩み抜いて、

近所に新しく出来た肛門科を
受診されました。


そこで先生に
困っている症状を話したら、

「内痔核があるからジオン注射をしましょう」

と注射療法をすすめられ
受けられました。


ところが・・・


一向に症状は良くなりません。

 

先生に相談しても

 

もう治っている
何も異常は無い

 

の一点張り。


せっかく注射療法を受けたのに
自分が困っている症状は
何も変わらない、無くならないえ~ん

 

何のための注射療法だったのか・・・ガクリ
と受けた治療を後悔する人も多いです。


途方に暮れて

 

ちょっと遠いけど
昔、手術してもらった肛門病院へ
行ってみよう

 

と17年ぶりの受診となりました。


診察しても肛門に異常はありません。

 

イボ痔は見当たりませんでした。
肛門のしまりも良いです。

 

何もない本当にキレイな肛門で
あ〜良かった!

と思いましたね汗


でも・・・

患者さんの悩みは深刻です。

 

診察すると
予想通り肛門や直腸に
便がありました。うんち

 

肛門の中は便まみれでした・・・。


さっき出してきたのに・・・です。


これじゃあ
キレイに拭き取れないし
下着が汚れるよね・・・
やる気なし

 

 

便が残ってるんです。
 

スッキリ出ずに残った便が
後からチョロチョロ出て来たり、

 

オナラがでた拍子に
残った便が出て来たりするんです。

 


ちゃんと排泄するようにすると
この日から

紙でキレイに拭き取れるようになり
下着が便で汚れることも
全く無くなりました。


患者さんは大喜びして
帰って行かれました。


このようなケースは
本当に多いです。


患者さんが困っている症状と
医師が治そうとしている病気が
一致しない
ことは
 

決して珍しいことではなく、

 

セカンドオピニオンの患者さんでは
本当に多いです。


私たちも他山の石として
気を付けるようにしていますが、

 

患者さんが訴えている症状が

 

痔によってもたらされているのか?
手術をすれば症状が無くなるのか?

 

ここを見極めるのが大切で、
時として診断に迷うケースもあります。


 

痔を治しても
症状が無くならないことも
当然あり得る
わけです。

 

 

また
私の提案する治療で
症状が改善するとは限らず、

1回の治療でうまくいかなければ
次なる手を探します。


そうやって
患者さんと一緒に「正解探し」
していく作業が診療だと思っています。


治療の実践の場は
患者さんに生活の中なので、
そこに私は立ち入ることが出来ません。


だから
患者さんのやる気と協力がなければ
治療は成立しないのです。


このケースも

 

患者さんは「症状」を訴えた
医師は「病気」を診た

 

という典型例でしょう。


 

つまり

 

患者さんが
 

「便がキレイに拭き取れない」
「下着に便が付く」

 

という症状を訴え

 

医師は

 

「内痔核」と診断し
それに対して標準的な治療をした

 

ということで

医学的には正解なのかもしれません。
 

(実際に内痔核があったかどうかは
正直分かりませんが・・・)


 

医師はとかく
「病気」の「診断」をしがちです。


病気を診て患者さんを診ないから
起こってしまったことなのでしょう。

 

忙しい外来診療の中では、
無理もないと思います。


ある意味、
仕方ない結果かと思います。


医学的には正しいことが
患者さんを幸せにするとは
限らない
のです。


 

だから

患者さんの側も医者任せにせずに
考えて欲しいんです。


手術や注射療法を受けてしまう前に

 

今困っている症状は
注射や手術で無くなるのか?

 

って。


分からなければ
先生に尋ねてみて下さい。


もしかして
先生も立ち止まって
考えるかもしれません。


医学的に正しいことが患者さんを幸せにするとは限りません。


困っている症状が
痔によって起こっていないのであれば
痔を治療しても
症状は無くなりません。


だから
よく考えて治療を受けて下さいね。

 

 

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