(2019年5月23日加筆修正)
「肛門科」というと
痔の人が行くところ
って思っている人も多いでしょうが
痔以外にも
様々なオシリのトラブルがあります。
肛門のかゆみ、ヒリヒリ
肛門がベタベタする
肛門のホクロ
オシリのニキビ
肛門周囲のブツブツ
などなど
色々な症状で
患者さんが来られています。
痔以外の症状で多いのが
便漏れです。
便漏れというと
肛門のしまりが悪いからだ
と思い込んでいる人が多いですが
私の外来では
そういうケースは非常に少ないです。
肛門のしまりも悪くない
痔もない
何もない
だけど便が漏れる
(と思い込んでいる)
というケースが多いです。
私は「ニセ便失禁」と呼んで
患者さんに説明しています。
便が漏れる
下着に便が付く
便で下着が汚れる
という症状でも
程度は様々です。
本当にひどい人だと
オムツを当てて受診されます。
時と場所を選ばず
何もしなくても便がダダ漏れ![]()
という患者さんが
時々来られます。
診察しようとオシリを診ると
肛門周囲が便でベタベタです![]()
いや・・・
「便」というよりも
「便汁」と表現した方が
適切でしょうか。
診察しようと指を入れると
ダーッと茶色い汁が
肛門から流れ出てくることも
ありました。![]()
オムツにも便汁が付いてるし
肛門周囲も
肛門の中も
便汁だらけ・・・
これじゃあ
四六時中、便が漏れるよね・・・![]()
という状態。
こういうケースは
決まって肛門が狭いです。
穴が小さすぎて
指が入らないこともあります。
このような患者さんに
共通しているのは
下剤で便を軟らかくしすぎている
ということなんです。
酸化マグネシウムなどの
緩下剤を飲んでおられます。
肛門が切れて痛いから
便を軟らかくしようと思って
酸化マグネシウムを飲み始め、
軟らかい便を出す方が
オシリが痛くないから
楽な方へどんどん流れて
毎日飲むことが常習化します。
軟らかい便ばかり出していると
肛門が狭くなっていきます。
狭くなると
さらに軟らかくしないと
切れるようになります。
もっと軟らかくしなければ・・・と
どんどんエスカレートしていきます。
肛門が本当に狭くなると
下痢便でも
痛みを感じるようになります。
「オシッコのような便が出るんです・・・。
そうしないと出せないんです。![]()
出しても出しても
上からどんどん便が下りてきて
四六時中、便が出続けるんです
」
と言われます。
それ、酸化マグネシウムの飲み過ぎです。
効かせ過ぎなんですよ。
下痢便がずっと出続けているのに
おなかのはりがあったり
全然スッキリ感がなかったり
だから
飲む量を増やしておられるのですが
逆効果です。
飲む量を減らさなければ
あるいは
ずっと漏れ続けます。
飲まないと不安
切れるのがコワイ
と心理的に
薬に依存してしまっている人も多く
本当に治療が大変です。
だって
その薬、やめてもらわないと
治療が出来ない・・・
「便」を「汁」としてではなく
「便」として出すことが大切です。
出れば何でもいいだろう
ってワケじゃないんです。
ちゃんと形のある便を出すよう
指導するのですが
怖くて出来ない人もおられます。
こういう状況になると
医者って無力だなぁ・・・
と感じます。
だって
患者さんが行動を変えてくれないと
アドバイスに従って
行動してくれないと
治療にならない
何も変わらない。
だから
治療するのは患者さん自身なのだと
痛感させられます。
こういう患者さんに限って
便が出せないから
切って肛門を広げて欲しい
と希望されます。
でもね
手術して肛門を広げても
水のような便を出していたら
手術の傷も
ちゃんと治りません。
炎症を起こして
また狭くなってしまうこともあります。
それにね
そんな便の状態のまま
手術をすると
広がった肛門から
さらに便が漏れるようになります。
何も解決しないどころか
余計にひどくなります。
切れ痔を繰り返している人に
酸化マグネシウムを
過剰摂取している人が多いですね。
便をやわらかくし過ぎると
かえって肛門に悪いですよ。
その便漏れ
下剤の飲み過ぎじゃないですか?
