中高一貫の私学に入学して6年間、
親らしいことをほとんどしてやれず
学校行事にも顔を出さず
三者面談も親は出席せず
本当に学校に関わることが皆無だったのですが
せめて卒業式くらいは・・・
と思い、外来を休診にして
私だけ出席してきました。
その卒業式の中で
校長先生や理事長先生、長老の先生
同窓会の会長の方々のお話が
本当に素晴らしく
胸に熱いものがこみ上げてきました。
その中で私の心に響いた言葉が今日のタイトルです。
これは「言うは易く行うは難し」だと思います。
昨日までの記事で
肛門科の手術の話を書いてきましたが
肛門科においては
手術依存率の高い経営形態
となっています。
つまり
手術をしなければ儲からない
それどころか
手術をしなければ経営が成り立たない
手術が無ければつぶれてしまう
という皮肉な構造があります。
内科では手術をしなくても
患者さんを診察してるだけで
経営はできますが
肛門科は
診察だけでは経営できません。
手術をしなければ医療機関としてやっていけない側面があります。
つまり
患者さんを切らずに帰すよりも
切って帰す方が儲かるわけです。
売り上げになるわけです。
するとどういうことが起こるか・・・
想像つきますよね?
経営を成り立たせるために
少しでも売り上げを上げるために
手術件数を増やすことになります。
手術適応の基準を甘くして
軽症例にも手術治療を選択し
手術を迷ってる患者さんの背中を押して手術を受けるようにすすめ
患者さんが手術を受けるように持って行けば
手術件数は増え
売り上げは高くなり
経営も成り立ち
儲けることができるようになります。
どんな仕事もそうなのかもしれませんが
儲かるように仕事をしなければ儲かりません。
17年前、先代の院長が倒れて急にこの診療所(当時は大阪肛門病院でしたが)を継承することになった時、
儲かるかどうか・・・という話じゃなくて
つぶれるかどうか・・・という問題に直面していました。
その時に患者さんを目の前にして
院長(私の主人です)は自問自答したそうです。
これは患者さんのためか?
それとも
自分のためか?
病院の経営のためか?
手術を迷ってる患者さんを前に葛藤したそうです。
そして自らの利益(手術という売り上げ)を犠牲にして、患者さんの希望(手術せずに何とかしたい)を優先しました。
お金にはならなかったけど、すがすがしい気持ちになったそうです。
これでいい
このやり方で病院がつぶれるのなら
それは仕方ない
そう思ったそうです。
そして師匠もこう言われたんです。
なんぼ金に困っても
切りたくないって言ってる患者のオシリ切ってまで
切らなくてもいい患者のオシリ切ってまで
儲けたいとは思わんけどなぁ
その言葉を聞いて
自分たちが頑なに守り通してきたものは間違ってなかったんだと思いました。
儲けることは出来ませんでしたが
病院はつぶれずにやってこれました。
これからもこの診療所がつぶれずにやっていけるかどうかは分かりません。
でも
必要のない手術をやってまで
痔じゃない患者さんを切ってまで
売り上げを上げようとは思いません。
それをやらなければつぶれてしまうのであれば
もうこの仕事を辞めようと思います。
それは医療ではないからです。
医療はビジネスではないからです。
自分たちが技術を提供して
その対価として料金を頂いて
結果として儲かるのであればいいですが
儲けることが目的になってしまっては本末転倒です。
同じ事をしても全然、違ったものになります。
だから私の目標は
手術を1件もやらなくても経営が成り立つ肛門科を造ることです。
それは実現可能だと信じています。
その方が患者さんも医師も幸せな医療が出来ると思うのです。
こんな風に出来るのも
うちの診療所が自由診療だからです。
保険診療の先生方は本当に大変です。
自分たちの技術や治療の値段を自分で決められません。
国が決めた値段で
その範囲内で
診療をやらなければなりません。
だから
まじめに良心的にやっている先生ほど儲かってません。
医師も患者も両方幸せになれるような保険制度になればいいのに・・・
って思います。
自分の利益を犠牲にして頑張っておられる肛門科の先生方がたくさんおられます。
でもそのせいで病院やクリニックが倒産してしまったら
患者さんにとっても不利益だと思うのです。
どうすればいいのか・・・
私には分かりません。
でも、このような肛門科医療の現状をお伝えしておくことは必要だと思って、この記事を書きました。
息子の卒業式で色々と考えさせられました。
そして
この学校で本当に良かったなぁ
って思いました。
卒業、おめでとう。
そして6年間ありがとうございました。
診療所のセラピードッグ「ラブ」
トレーニングが終わっても
ラブはまだ「犬のようちえん」を
卒園しません(^0^;)
トレーニングが終わっても
ラブはまだ「犬のようちえん」を
卒園しません(^0^;)
