朝のニュースで見た光景。
ごく普通のおじさん、おばさんたちの人形がいる。
まるで、ある団らん風景をストップモーションで閉じ込めたように。
ある女性人形作家の作品だ。
彼女は独学で人形作りを学んで、現在に至ったという。人形作りのポイントは、しわだそうだ。顔のしわ、そして手のしわ。しわが人形に温もりを与えているような気がする。まるで、すぐ隣で息づいているような。
画面には、彼女の元にやって来た女性の人形作成依頼者の姿があった。
四年前、がんで亡くなった夫の人形を作ってほしいという依頼。夫の写真、夫が身に付けていた仕事着などを持参し、依頼者は夫のことを彼女に語った。
彼女は、語り合う中で依頼者の夫に対するイメージを形作り、人形を作る。
出来上がった人形は、笑い皺も忠実に再現され、何より依頼者が持参した仕事着を着ていた。仕事着の胸ポケットにある会社のロゴは、亡くなった夫が考えたものだという。全体の姿も写真で見たイメージによくあっている感じだった。
依頼者は涙ぐみながら人形を見ていた。
でも、私なら、家族、友人の人形を作ってほしいと思うだろうか?私の答はノーだ。
以前にも書いたと思うが、私は故人のビデオ映像などを見るのがつらい。ビデオの中では、何事もなかったように故人は生き生きと動いている。現実とのギャップが苦しいと思う。
ビデオとは質が違うが、形として残るものを見ると、かえってつらいと思う。
夫は「生々しいのがちょっと…」と言っていた。
しかし、彼女が一体ずつ丁寧に仕事をされる様子は見ていて頭が下がるものだった。
彼女の人形に心を癒される人達のためにも、身体に気をつけて、1日でも長く活躍していただきたい。