地理の教師の藤村は、頭が薄い。頭の形がちょうどらっきょうに似ていたため、「らっきょ頭」とあだ名がついていた。兄弟が皆国立大学を卒業していたためか、早稲田大学の出身でいながら私立であることにコンプレックスをもっていた。

 丸眼鏡をかけ、口元に泡を貯めてしゃべる。女子には特に厳しい。2年生になった優斗にはもう関係のないことであるし、藤村に対するバカにした感情はハゲだけに毛頭持ってはいない。

 

 ある日、吉本と高山と優斗の3人で帰ったときのことである。駅に向かう途中で、藤村が自転車で追い抜いて行った。

 自分の学校の生徒とわかったのか藤村から「さようなら」と声をかけてきたのである。3人も反射的に「さようなら」と返すと、高山が思わず「藤村じゃねえか」と小声で口走った。

 吉本が「聞こえるぞ」とこれも小声で制しようとした。一瞬、ヒヤッとしたが聞こえたのかどうかはわからない。藤村は平然と自転車をこぎながら遠ざかって行った。

 藤村がかなり小さくなると、突然、高山が「この、らっきょあたま~!」と叫んだのである。すると、その声はさすがに聞こえたらしく、自転車を止め振り返ったかと思うと、ものすごい勢いで自転車をこぎながら戻ってきたのである。

 お、やばいと吉本と高山はさっさと路地に逃げ込んでしまった。優斗はと言うと、別に自分は何もしてないんだからと毅然とそのまま歩いていたのである。そこへ、青筋立てた藤村が追いつくといきなり優斗に喰ってかかってきたのである。

「今、らっきょ頭って言ったでしょ!」

「いえ、言ってませんよ」

「いいや、確かに聞こえた」

「俺は言ってないですけど」

「教師をバカにするんじゃありませんよ」

「いえ、別にバカにした覚えはありませんが」

「何組だ?名前は?明日、担任によく言っておきますからね!」

 そう言い捨てると凄い血相で帰って行った。

 藤村が離れていくのを見計らって、吉本と高山は笑いながら戻ってきた。

「ああ、やばかったな」

 藤村に怒られている様子を一部始終物陰から見ていた二人は笑いが止まらない。割を食った優斗は納得がいかないと言いながらもそのうち二人につられて笑いだしていた。

 

 

 

 

 さて、本日取り上げるアルバムは、CHELY WRIGHTの『THE METROPOLITAN HOTEL』(2005年)である。



 チェリー・ライトは、アメリカのカントリー系のシンガー・ソング・ライターである。で、このアルバムは彼女の6作目である。

 

 プライベートではいろいろあったようで、そのような内容かなと想像させる曲もあるようだ。よくわからんけど、たぶん。

 カントリーと言ってもさほどカントリーっぽくないし、全部訳してみたわけではないが、結構、ストレートな感情を歌っているような気がする。たぶん、よくわからんけど。

 

 アルバム自体は高い評価を受けたようで、シングルが4曲ほどリリースされている。

そのうちの1曲「Back of the Bottom Drawer」

 

https://www.youtube.com/watch?v=NgnGmfaYcgM&list=RDNgnGmfaYcgM&start_radio=1

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=ZKVfeXDpk1I&list=RDZKVfeXDpk1I&start_radio=1