若い頃は、ラジオのFM放送をよく聞いていた。
当然、AM放送より格段に音質が良くステレオ放送だったし、何よりも音楽番組が多かったからだ。
新譜をアルバム丸ごと放送したりする番組も多かったし、放送のためにライヴ演奏したものを流したりと眼、いや耳の離せない番組が多かった。
パーソナリティの話も、当然、新譜の内容やミュージシャンの紹介だったり、音楽に特化した内容だった。
当時、音楽情報をえるには、そういったラジオ番組か音楽雑誌くらいしかなかった。
「FMㇾコパル」「週刊FM」といった情報誌もそのひとつで、オンエアの予定を把握しては、チューナーの前に陣取ってエアチェックすることに余念がなかった。
今の番組の多くは、パーソナリティのつまらない話やハガキを読んだりする合間にリクエスト曲を流すという内容だ。
なので、ほとんど聞かなくなった。
先日、偶然、音楽評論家渋谷陽一の名前をどこかで聞き及んで、懐かしさを覚えた。
当時、彼がパーソナリティをしていたNHKのFM番組「ヤングジョッキー」(だったかな)をよく聞いていたからだ。
その番組のおかげで、それまで知らなかったミュージシャンや曲を、結構、覚えることができた。
しかし、彼がロック雑誌「rocki’n on」の社長だとは知らなかったな(笑)。
アイルランド出身のギタリストRory Gallagher(日本では、ギャラガーと読むが、海外ではギャラハーと読むことが多いらしい)も、確か、そんな感じで知ったミュージシャンの一人だった。
渋谷氏の紹介により、アイリッシュ・ツアーのライヴ盤の中から「Tattoo’d Lady」の一曲聴いただけだったが、変にエフェクターで誤魔化さず、生のストラトの音でキュインキュインと攻めてくるギター、メロディアスなソロフレーズ、そして実直な歌い方とでもいうのだろうか、もろブルース好きな好青年の情熱ほとばしる演奏に好感が持てた。
今、そのアルバムを久しぶりに聞きながら書いているが、過去に何度も聴いてきたはずなのに、まったく飽きずに、あっという間に1枚聴き終えてしまった。
https://www.youtube.com/watch?v=fkleKuAshLA
偶然、大学の友人がRoryを好きで、「Live in Europe」や「Blue Print」といった初期のレコードを当時貸してくれて、すっかりファンになってしまったのだった。
来日時には、その友人がチケットをとってくれて一緒に観に行った。
彼のステージは、チェックのシャツにジーンズというまったく気取りのない衣装で、演奏曲もライヴアルバムでお馴染みのものばかりだった。
汗だくの顔をほころばせながら、歯切れのいい「Thank You!」を連発していたのが印象深かった。
そのとき、彼のトレードマークである塗装の剥がれたフェンダーのストラトキャスターを持っていたかどうかは、記憶が薄れていてはっきりしない。
彼のバンドは、Roryのほかベースとドラムとキーボードの4人編成から、キーボードを外した3人編成になったり、また4人に戻したりとベースを除くメンバーを何度かチェンジしている。
彼のキャリアの前半はブルース色の濃いナンバーが多かったが、後半はアップテンポのロックンロール色が強くなっていったようだ。
晩年、肝臓を患って肝臓移植したというが、残念ながら、その合併症により47歳という若さで他界する。
ライヴで見せる疾走感のあるギター演奏と同じように、彼の人生を一気に駆け抜け、早くもそのステージの幕を下ろしてしまったのだった。


