我が家も小5の終わりくらいから反抗期に突入して、すったもんだしてきました。

その経験を踏まえ、5回に分けて子供のトリセツを、下記のようにシリーズでお伝えしています。


第1回:【感情編→★】
​第2回:【学習編】
​第3回:【人間関係編】
​第4回:【会話編】
​第5回:【親のメンタル編】


本日は第2回【学習編】です。




 「宿題やってる」が嘘になる?脳の「作業机」の秘密


​「宿題やるって言ったのに、全然進んでない!」

「さっき言ったこと、もう忘れたの?」

​中学受験生を持つ親御さんなら、一度や二度(あるいは毎日…)経験したことがある光景かもしれません。





​「やる気がないのかしら?」

「嘘をついてばっかり!」

と不安になりますよね。

でも、これも実は脳の仕組みを知ると「あ、そうだったんだ!」と納得できる理由があるんです。

​キーワードは、脳の中の「作業机(ワーキングメモリ)」です。



 ​1. 脳の作業机は「ノート1枚分」!?


​私たちの脳には、情報を一時的に置いておく「ワーキングメモリ(作業机)」という場所があります。

実は思春期の子どもの脳内は、「感情の荷物」が最初からドカッと置かれています。




《中学受験のプレッシャー》

 「合格しなきゃ」「模試の結果が……」


《人間関係の変化》

「友達にどう思われてるかな?」「あの子の言い方、気にかかるな


《体と心の変化》

 自分の体が変わっていく戸惑いや、言葉にできないモヤモヤ


受験生の親からしたら「勉強だけに集中して!」と思いますが、子どもの脳内ではこれら全ての情報が作業机を占領しています。


人間が一度に机の上に広げておける情報の数は、一般的に3〜5つ程度と言われています。


勉強でいうなら…

・先生の話を聞く

・その意味を考える

・ノートに書き写す

これだけで、机の上(ワーキングメモリ)はもういっぱいです。



 ​2. 「嘘」ではなく「机からこぼれ落ちた」だけ


例えば、親が「宿題しなさい。あ、終わったら、明日の準備もね!」と声をかけたとします。


​でも、机の上が悩み事でいっぱいの状態だと、新しい指示(情報)が乗るスペースがありません。

​「宿題しなさい」と言われて、机の端っこにノートを広げようとする

でも、その瞬間に机の上の「明日の準備」という情報は床にこぼれ落ちてしまう……。





​後から「やってないじゃない!」と叱られた時、本人にとっては嘘をついたつもりはなく、「本気で忘れてしまった(机から消えた)」というのが本当のところだったりします。



 ​3. なぜ「簡単なこと」もできないの?


第1回にも書きましたが、思春期の脳はまだ未完成です。

特に「段取りを立てる(実行機能)」という部分は、工事の真っ最中。


《優先順位がつけられない》

 どれから手をつければいいかパニック


《集中が切れる》

机の上が散らかっているから、すぐ別のことが気になってしまう


​これらを「本人のやる気」や「性格」のせいにすると、親子ともに疲弊してしまいます。


「あぁ、今は机の上が荷物でいっぱいなんだな」と理解してあげるだけで、少しアプローチが変わってくるかもしれません。



 机の上の「荷物」を一緒に片付けてあげる


そんな時、親ができることは、机を片付ける手伝いをしてあげることです。


《一気に言わない》

 指示は「一つずつ、終わってから次」を徹底する。


《「見える化」する》

頭の中だけで考えさせず、TO DOリストを書いてあげる(机の外にメモを置くイメージ)。


《小さなハードル》 

「5分だけ算数の計算をしよう」と、机に載るサイズの小さな課題からスタートする。



 ​休憩も「机の整理」の大事な時間


​「ゲームばかりして!」と怒りたくなるGWですが、実はゲームや遊びでリラックスすることは、散らかった脳の作業机をリセットする「お掃除タイム」でもあります。






なぜそう言えるのか、3つの理由で解説しますね。


  脳を「デフォルト・モード・ネットワーク」に切り替える

脳には、何かに集中している時の「実行モード」と、ぼーっとしたり好きなことに没頭したりする時の「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という状態があります。


 【勉強中】 

脳の机にどんどん新しい書類(知識)を広げている状態。

 【リラックス中(DMN)】

 脳が自動的に、散らかった書類をフォルダ分けしたり、不要なゴミを捨てたりする「自動整理・クリーニング」の時間。


ゲームや遊びに没頭して「勉強のプレッシャー」から解放されることで、このクリーニング機能が働き、パンパンだった作業机(ワーキングメモリ)に余白が生まれます。



②「ドーパミン」によるリフレッシュ効果

中学受験期の勉強は、どうしても「やらされ感」や「不安」が強く、脳内はストレスホルモン(コルチゾール)でいっぱいになりがちです。

好きなゲームをしている時は、脳のご褒美である「ドーパミン」が分泌されます。

 ドーパミンは脳のガソリンのようなもの。

 適度な報酬(楽しさ)を得ることで、ストレスでガチガチになった脳の緊張がほぐれ、再び「よし、5分だけならやろうかな」と思えるエネルギーが補充されます。


③「マインドワンダリング(心の彷徨)」の効能

「ゲームばかりして!」と見えても、実はその時間は脳が「勉強の悩み」という特定の場所から離れて旅をしている状態です。

ずっと一つの問題や不安に固執していると、脳の机はフリーズ(硬直)してしまいます。


一度ゲームという全く別の世界に意識を飛ばすことで、脳の回路が切り替わり、戻ってきた時に「あ、あの問題こう解けばいいのかも」という「ひらめき」が起きやすくなる効果もあります。


ずっと机に向かってフリーズしているより、一度ゲームや運動などの好きなことで脳を動かして『お掃除』した方が、その後の10分の集中力はぐんと高まります。


​ただ、ここで一つ大きな悩みどころがありますよね。

ゲームは依存度が高く、短時間でやめられない子が多いという点です。

​「脳のメンテナンス」のはずが、「脳の乗っ取り」になってしまっては本末転倒。


依存させないためのコツは、「ゲームを終わらせるタイミング」を子ども本人に決めさせること。

そして「次に座る机の上のハードルを、極限まで下げておくこと」です。

「ゲームが終わったら、算数の問題を1問だけ解いたら終わりにしていいよ」

そんな風に、脳の作業机にスッと乗るくらいの小さな「お仕事」を用意して、現実世界へ戻る橋をかけるといいかもしれません。



​✳️次回予告✳️

​次回は【人間関係編】

「急に友達のことばかりで、親の話を聞かなくなった……」

世界が広がっていく脳の進化についてお話しします。





私も息子とのやり取りで疲れると、いい香りの入浴剤を入れたお風呂に入ったりしています。

美味しいものを食べたり、好きな飲み物を飲んだり、香りで癒されたり。

自分なりの癒しがあると救われるかも。