一介の奴隷から押しも押されもせぬ皇帝の正妻(つまり皇帝妃ですが、詳しくは後述)という地位にのし上がる主人公の型破りな行動が、女性のエンパワーメントについて示唆に富んでいると思ったので書いてみます。そのためにはネタバレが必要なのでご容赦ください(笑)。
このドラマの主人公は実在の人物で、物語も脚色はあるものの史実に基づいています。主人公のモデルとなった人物についてのウィキペディアのページ↓
主人公アレクサンドラ(イスラム教に改宗してヒュッレムと改名)は、現在のウクライナあたりの出身で、スレイマン1世の時代のオスマン帝国後宮に売られてきた奴隷でした。皇帝の夜伽を勤めて心をつかむことに成功しますが、もちろんそれだけで「皇帝妃」になれるわけではありません。まずは男子を生むと「妃」(スルタン)となることができ、さらに、その男子が次期皇帝になれば母后(ヴァリデ・スルタン)として盤石の地位を手に入れることができます。
(なお、私の知識のほとんどはウィキペディアからですが、当時のオスマン帝国は皇帝の後継者の母の出身にはこだわりがなかったそうです。)
主人公ヒュッレムは目論見通り男子を生むのですが、まず一つ目の型破り。
当時のオスマン帝国後宮では、一度男子を生んだ女性は、その後は子供を作らないという慣例があったそうです。しかし、皇帝はヒュッレムにぞっこんすぎてwシーズン1終了時点ではヒュッレムは男子3人と女子1人を生んでいます。(史実では6人)
二つ目の型破りは、後宮の女性たちは皇帝にとにかく従順なだけだったのですが、ヒュッレムは嫉妬心も素直に表すし、自分のライバルになりそうな新入りの愛妾を追い出すか、さもなくば自分が出ていく、あるいは殺されても結構、と皇帝に直訴するという大胆な行動に出ます。
本来なら「皇帝に口を出すとは不敬な!」と追い出されるとか殺されてしまうとかなっちゃうのですが、なんと皇帝ったら一度は怒るものの「愛いやつ…」と彼女の言う通りにしてしまいます。当然、皇帝の母君や他の妃たちからは眉をひそめられます。
三つ目の型破りは、皇帝に、自分を奴隷身分から解放させ、さらには法的な妻とし、他の側室を降嫁させるなどして事実上の一夫一妻制を要求したことです。これらも結局全て叶えられるのですが、全てオスマン帝国史上初めてのことでした。それまでは、オスマン帝国の皇帝妃には法律上の妻という地位がなかったのです。(政略結婚で他国の姫が嫁いで来る場合は別なようですが)
前提なんて無視、慣例に甘んじず、眉をひそめられようとも、自分の意思を自覚してはっきり要求&行動する、という点が、私には神の啓示のように思えました(笑)
それにしても、このような女性は往々にして歴史上悪女と呼ばれることが多い気がします…
