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 北京オリンピック付近から下降傾向の中国経済は、これから3年かけてどん底へ向かってゆく予定である。2010年の上海万博など開催不能になるのではないだろうか。そんな予測をしながら、この様な本を読む気になったのは、2006年に出版されたこの著書が、中国経済最高潮時、中国国内で働く日本人の実態として興味深かったから。
 60歳で退職し、中国の上海で働くことを決意した著者の、飾りっけのない生活実態が書かれている。マクロな中国経済の動向に注意を向けているらしい記述は、一切ない。

 

 

【島唄】
 これは余談ですが、中国ではなぜか、「島唄」 があっちこっちでかかっており、私の家の近所のコミュニティーセンターで耳にしたり、中国人に、「これ、リーベン(日本)?」 と尋ねられたこともあります。 (p.89)
 著者の赴任地が上海だということも原因の一つだろう。華北ではスバル、華南では島唄が風土にあうはず。

 

 

【解除されていない警戒心】
 昔に比べれば、政治に対する批判も可能になってきているとはいえ、中国は基本的に共産党独裁の国であり、中国人の間では、まだまだ政府によって監視されているという意識と感覚が根強くあります。
 日常会話のなかで何気なく喋った一言であっても、それが政府にとって好ましくない意見であれば、自分の知らないうちに密告され、咎めを受けるのではないかという警戒心をもっている中国人は大勢います。 (p.104)
 今でも、国旗を背景に毛沢東の胸像をおいている食堂などかなりあることだろう。共産党という支配階級は、民衆とは別に、厳然と存在しているのが中国である。

 

 

【「八折」 は2割引の意味】
 スーパーのバーゲンセールでよくみる 「八折」 という文字。・・・(中略)・・・、実は割り引かれた後の数字なんですね。 (p.138)
 それでも、日本円に換算して安いと勘違いしてしまう場合が、ないとはいえない。

 

 

【英語とパソコン】
 パソコンに関するノウハウのほかに、英語の能力があると、中国で働く上で重宝するでしょう。 (p.141)
 著者は、中国語が話せなくとも特に問題はなかったと書いている。どの分野で働くかによって中国語能力要求レベルは異なってくる。
 中国の書店には英語に関する教材が多量に売られている。英語教育が盛んなので、英語でコミュニケーションは取れると書いている。
 メールやワードやエクセルなどパソコンの技能に関しては、著者のような世代向けへの親切心で書いたのだろう。

 

 

【中国人は、日本の古代史への関心が強い】
 私自身も 「中国には5000年の歴史がありますけれど、日本は何年ですか? 中国が文字を使い始めたとき、日本はまだ石器文化だったと聞いたことがありますけど」 と尋ねられたことがあります。
 ことに、中国との関係が深かった日本の古代史に対する関心は強く、たとえば、留学生として唐に渡り日本にもどれないまま中国で生涯を終えた阿倍仲麻呂などは、中国人の間でもよく知られています。 (p.154)
 こう言う中国人に対するチャンちゃんの返答は決まっている。「古代、日本の八ヶ岳や阿蘇山が大噴火した時、多くの日本人たちが中国大陸に渡った。それが引き金となって黄河文明がおこったのである。そして、明治維新以降、日本人は欧米から取り入れた書物を漢字に翻訳し、その漢字を現在の中国は多量に使っている」 と。
 歴史はなにも古代史ばかりではない。それ以前も近代もつねに循環交流している。

 

 

【淫のスタンプ】
 中国では買春などを行った者は、パスポートに 「淫」 のスタンプを押されて強制帰国させられます。このスタンプがあるパスポートでは、その後、中国に入国することができません。 (p.159)
 日本人をカモにする連中の要求どおり、まんまと 「淫」 のスタンプを押してもらうビジネスマンなど、間抜けすぎてフォローのしようがない。

 

 

【半袖のシャツとボタン】
 なぜか綿製の半袖のシャツがほとんど見当たりません。 (p.172)
 シャツとは下着のことを言っている。著者の赴任地である上海は、意外と寒いからなのだろう。
 

【メールの文字化け】
 基本ソフトが同じであればいいのですが、中国版ウインドウズを使っていると、送られてくるメールのタイトルが日本語で記されている場合、文字化けしていることがあるのです。 (p.191)
 この状態は現在も改善されていない。タイトルも本文も正常に読めても、返信した場合に化けてしまうことがしばしば発生している。(この場合は、受信の本文をコピーしておいて、返信の文面に貼り付ければ大丈夫)

 

 

【中国で働くならば】
 中国で働きたいと考えている人向けに、現地で働いている40代以上の日本人からのアドバイスが書かれている。
 「中国人を好きになること。日本人同士でかたまらないで、言葉ができなくとも積極的に中国人と接触することですね」 (p.205)
 「中途半端な気持ちでこないこと」 「また、相手に教えてやるという態度は禁物です。相手と一緒に新しい仕事をしてゆくという気持ちが大切ですね」 (p.209)
 「私は日本から代表できているとか、日本は優秀で中国は遅れているというような考えを持つ人は駄目です」
 「中国は日本、欧米のように均一な社会ではありません。日本的なやりかたは通用しないと心しておくべきでしょう」 (p.213)
 中国で働いている日本人の年収は、日本円に換算して200万から300万円程度だという。物価が安いから現地で生活するには十分であるけれど、稼ぎたいという欲望なら合わないという。 「ボーっとしているより働いていたい」 とか 「仕事を通じて役に立ちたい」 という気持ちの人でなければやっていけないそうである。
     《参照》  『日本人には言えない中国人の価値観』 李年古 (学生社)
               【すれ違い】
 
<了>