
センセーショナルなタイトルである。昨年の3月に出版された本。
著者は、防衛庁と大学合わせて45年間、現代中国軍事研究をされてきた方なので、中国が明確な軍事的国家目標を掲げ、それを着々と実現してきていることを教えてくれる。
【「日本併合」】
昨年だったであろうか、中国の原子力潜水艦が日本の領海を航行したことで、日本政府は初めて抗議したけれど、それ以前にも中国は頻繁に、日本領海を航行していたことが詳細に記述されている。
著者は、防衛庁と大学合わせて45年間、現代中国軍事研究をされてきた方なので、中国が明確な軍事的国家目標を掲げ、それを着々と実現してきていることを教えてくれる。
【「日本併合」】
「日本併合」という言葉を著者が使うのは、日本が利権を有する東シナ海の排他的経済水域・大陸棚、あるいは尖閣諸島・魚釣島の領有権を中国が侵犯している現実を主張するためではない。事実ははるかに進展しているのだ。その先にあるものとは、多くの日本人の想像を超えたものであるはずである。 (p.13)
この文章に続いて、中国が明確な国家目標を掲げて、それを達成するための国家戦略、「核・海洋・宇宙」という3つの領域に焦点を定めて、国家の総合力として有機的に機能し始めていることを、具体的事実に即して記述している。昨年だったであろうか、中国の原子力潜水艦が日本の領海を航行したことで、日本政府は初めて抗議したけれど、それ以前にも中国は頻繁に、日本領海を航行していたことが詳細に記述されている。
2000年5月14日から6月7日までの約1ヶ月間、中国海軍の情報収集艦が本州、四国、九州の周辺海域を情報活動を行いながらゆっくりと一周したことがある。 (p.27)
日本が始めて抗議した中国原潜の領海侵犯問題が報道された頃、日本にいる一般中国人は、「日本は危険な国になっている」 などと間抜けなことを言っていたので、「いや、漸く日本もまともな国家になり始めた」 と言い、それ以前の中国原潜の日本領海侵犯の事実を話してやったことがある。私は、そのような事実を、この本が出版される以前、石原慎太郎さんの書籍の中で5年ほど前に読んでいたからだ。
【中国の原子爆弾開発】
中国建国からまもない1960年代に、当時のフルシチョフが、原爆を 「世界を危機に陥れる」 という理由で、中国への技術提供を行わなかったにもかかわらず、中国は、プルトニウムよりも技術的に困難なウラン原爆を完成させていた事実は、先進国を驚かせていたという。
現在は、ロシア、インド、日本、台湾などを標的に定めて、核弾頭を数百発も配備していることは、公然の事実である。
中国建国からまもない1960年代に、当時のフルシチョフが、原爆を 「世界を危機に陥れる」 という理由で、中国への技術提供を行わなかったにもかかわらず、中国は、プルトニウムよりも技術的に困難なウラン原爆を完成させていた事実は、先進国を驚かせていたという。
現在は、ロシア、インド、日本、台湾などを標的に定めて、核弾頭を数百発も配備していることは、公然の事実である。
【speak softly but carry a big stick】
特に中国は1800年代の帝国主義列強によって与えられた屈辱を跳ね返そうと、執念的な中華思想を抱いていることを忘れてはいけない。世界規模の環境異変ないし、中国の経済崩壊が起こらないかぎり、中国は国家目標を目指して驀進する。
軍事力は国家の根幹をなす要素であることを、日本国民はそろそろしっかりと自覚すべきである。平和、すなわち経済の繁栄、秩序と安全、外交交渉力による解決等は、軍事力に裏づけされて始めて実現されるのだ。 (p.25)
小見出しに掲げた英文は、国際ジャーナリスト落合信彦さんが小説の中で使っていた表現である。平和な時代に生まれ育ってきた普通の日本人は、このような国際交渉の仕方に強い違和感を持ってしまうだろう。しかし、世界史の中では、戦後の日本だけがたまたま軍事力を持たずにやってこれたというだけで、昔の列強諸国も、現在の中国も、小見出しのような手法をとっていることに全く変わりはない。特に中国は1800年代の帝国主義列強によって与えられた屈辱を跳ね返そうと、執念的な中華思想を抱いていることを忘れてはいけない。世界規模の環境異変ないし、中国の経済崩壊が起こらないかぎり、中国は国家目標を目指して驀進する。
【国境線ではなく 「辺彊」 という主張】
日本の若者達は、軟弱な中性化が進んでいると思いきや、K1が常に高視聴率をあげている。対中国に関して腰抜け政治家の無様さは、日本の若者の心を逆撫ですることになる。
中国語には国境という言葉はない。中国語の中にそれに相当する言葉を探すとすれば、「辺彊」 である。「辺境」 でない点に注意してほしい。「辺彊」 は国境線ではなく、地域を示す言葉である。
英語を使えば、border line ではなく border area である。 (p.117)
東シナ海の春暁石油ガス田で作業中の作業船の大きなクレーンの土台に大きな文字で、「藍彊」 という船名が描かれているのを見て、大きなショックを受けた。「藍」 は青い海を指し、・・・・ (p.147)
「辺彊」 という概念は、柵封国家中国ならではの概念である。中国の狡猾なやり方に対して、お人好し国家・日本であれば、柵封国家に併合されてしまう。英語を使えば、border line ではなく border area である。 (p.117)
東シナ海の春暁石油ガス田で作業中の作業船の大きなクレーンの土台に大きな文字で、「藍彊」 という船名が描かれているのを見て、大きなショックを受けた。「藍」 は青い海を指し、・・・・ (p.147)
日本の若者達は、軟弱な中性化が進んでいると思いきや、K1が常に高視聴率をあげている。対中国に関して腰抜け政治家の無様さは、日本の若者の心を逆撫ですることになる。
【2010年・中国は?】
2008の北京オリンピック、ないし、2010年の上海万博の後、中国の出方次第で、世界の明暗が分かれるだろう。
欧米には経済成長の次には政治の民主化が始まると見たり、経済の相互依存関係が増大すると、ボーダレスの状態が生まれ、戦争は起きなくなるという見方がある。しかし中国が市場経済を導入したのは、その経済的基盤の上に強大な軍事力を構築することが目的であり、あるいは中国がWTOに加盟したのはWTOの優等生になることではなく、参加することによって経済成長を遂げ、世界の強大国に発展することを目的としているのである。(p.201)
1960年代、世界で最も貧しいとされた当時であってすら、莫大な費用のかかる原爆を作成していた中国。経済発展を遂げても、辺境地域にはまともに学校などつくらず、海外からの良識的な民間団体にまかせて、戦略的に軍事力増強に心血を注いでいる中国である。2008の北京オリンピック、ないし、2010年の上海万博の後、中国の出方次第で、世界の明暗が分かれるだろう。
<了>