

インパクトのない本だった。あれもこれも書かれているが、際立った見解はほとんどない。ましてや新発見など何もない。あちらこちらの経済関係の書籍に書かれていたことをまとめて、一冊にしただけの本のようである。
【インパクトなし】
昨日の読書記録に書いた日下公人さんは、見識と教養をもちながら、経験と実学を重んじる方であり、そのスタンスから歯切れのいい考え方を数多く教えてくれる。それに対して、この著者は、机上で様々な文献をあさって頭の中だけで考えている方であろうと思われる。印象が薄い、というより、つまらない。
公務員か大学教授の書きそうな本である。著者の経歴を読んだら、どうりで、アメリカの大学院留学とかが書かれている。普通に読んでいて内容が頭に残らないのである。自分の中から生み出された独自の考えではなく、他の書籍に書かれている内容を集積した様な文章の場合、読者はそれを読んでも分かりにくいものである。もとより私は経済書を読みたいとは思っていない。一般人として経済の側面から世界を覗いてみたいだけの読者である。この本は、私のような読者を満足させる書籍ではない。
【タスマニア】
上限としての個体数が一定に保たれていたタスマニア島の羊を、経済成長の上限に見なしたタイトルはいかしている。しかし、この本はタイトル倒れである。横帯の背表紙側に「ビジネスマン必読」とあるのであるが、でまかせである。
こんな本に時間を費やすくらいなら、8940(薬師丸ひろ子)さんが出演していた小中学生向けの映画 『タスマニア物語』 でも見ていたほうが楽しい。企業活動と環境問題を扱っていた内容だった。
他に、タスマニアで思い出すのだけれど、なかむらひとみ著 『タスマニアの光の中で』 (風雲社) という本を印象深く覚えている。芸術家である著者の自己啓発的な体験記だった。「タスマニアの精霊に導かれなければこの島には住めない」 というような記述があったのを覚えている。数年前に、この本を読んで以来、タスマニアに行ってみたいと思い続けている。
<了>