花の命は短くて
無断転用禁止
今回はわしの住処から1時間半ばかりの高原へ行ってみることにしたのじゃ。
夏になるとこの高原にはハンゴンソウという黄色の花が咲き乱れるからのう。
この花と朝焼けを絡めた写真を撮りたいのじゃよ。
ハンゴンソウと一口に言ってもたくさんの種類があるらしいが、ここに咲く花は特に珍しい種類ではない。
その辺の道端や田んぼの畔にいくらでも見ることが出来るありきたりの花じゃが、それでも大量に群生していると結構見応えがあるのじゃ。
しかし、この高原の花の見ごろは毎年8月中旬ぐらいじゃからのう。
今は9月初旬じゃからちょいと出遅れたしまったかもしれぬわい。
楽隠居のように見えても、天候との兼ね合いがあったり、お決まりの病院通い、その他の雑用が結構あってのう。なかなか思うようにはいかぬのじゃ。
そんなこんなで9月に入ったばかりのある日、恐る恐る出かけてみると・・・。
案の定、ご覧の通りじゃ。
とっくに最盛期は終わりを告げていたわい。
花が咲いているのはほんの一部で、ほとんどが散ってしまっている。
これでは使い物にならぬわのう。
下の写真は数年前に撮ったものじゃが……。
こんな光景をイメージして来たのじゃが、残念ながら今年は時機を逸してしまったわい。
それにもっと悪いことに、2、3年前から辺り一帯は電柵が張り巡らせられてしまって、景観が悪いこと夥しいのじゃよ。
年々歳々、あちらこちらで自然が失われてきて、カメラマニアの撮影範囲がせまくなるばかりじゃ。
かといって、せっかくここまで来たからには、簡単にオサラバするわけにはまいらぬからのう。
高原一帯をぐるぐる巡って何か獲物はないものかと鵜の目鷹の目で漁ってみようわい。
この高原には大小の池が4つほどある。
その中の1つに行ってみると、黄色い花がポツリポツリと咲いてた。
そのそばにはワシの近辺の池で見慣れているコウホネも咲いている。
コウホネは絶滅危惧種だと聞いた気がするが、確かめていないからうっかりしたことは言ぬ方がいいわい。
池の中の倒木にも草が伸びている。たくましいのう。
ここにも。
牧場には乳牛が放牧されているわい。
もう1つの池にも行ってみた。
この池の中には特徴的な切り株がある。
この切り株はときどきカメラ雑誌にも載っているのう。
気がつくと西の空はほんのり色づいている。
しかしこの辺りには西に開けた場所があんまりないのじゃよ。
それではちょいと遠いが、草原の中に転がっている倒木でも撮りに行くか。
あそこなら西向きの写真が撮れるはずじゃ。
ただ、そこへ行きつくまでが大変なのじゃよ。
ジャングルのような木々の間を潜り抜け、膝頭ぐらいまで伸びた草の中をよたよた歩いて行かなければならぬからのう。
ヨタヨタ
トボトボ
そのころには夕焼け空はすっかり消えてしまって、宵闇が忍び込んでいたわい。
くたびれ儲けとはこのことじゃ。
またカメラと三脚を担いで、暗くなった草原の中をヘッドライトを頼りに必死の思いで引き返した。
車までやっとの思いでたどり着くや、しばらくは“ベッドルーム”に倒れ込んで動けなかったわい。
つづく
無断転用禁止












