自分にとって特別過ぎるお店の話。

 

新宿から小田急線で数駅の代々木上原、小田急沿線らしいローカル感が漂う町。

 

そんな町の一角に、世界を魅了するお店があります。

 

Japanese Soba Noodles 蔦

 

ラーメン屋として世界で初めてミシュランの星を獲得したJapanese Soba Noodles 蔦。

 

平成24年(2012)に巣鴨で創業、その7年後に現在の代々木上原に移転。

 

創業者の大西祐貴さんは藤沢の伝説店「めじろ」の店主を父に、同じ藤沢の名店「うずとかみなり」の店主を兄に持つ、サラブレッド家系。

 

お父様の店で数年修行をした後、アパレル業界を経て開業に至ったそうです。

 

因みに、屋号の"蔦"は家紋から。

 

トリュフを初めてラーメンに取り入れたり、高級食材をふんだんに使ったり、ラーメンをひとつの麺料理に昇華させた業界の革命店として、孤高の地位を築きました。

 

醤油soba

 

これが基本の一杯。

 

複数の醤油をブレンドしたタレに、地鶏と浅利などの出汁で、極上の"旨味"を生み出す一杯。

 

まさに"丼の中のフルコース"です。

 

そんな蔦でしたが、創業者の大西さんが2022年に急性心不全で急逝してしまいます…

 

半年の休業期間を経て、昼営業を再開すると共に、夜は会員制の夜蔦として営業する体制で再出発。

 

そこで提供されるのは、大西さんが遺した100のレシピに基づく一期一会の特別な麺料理。

 

私も夜蔦の会員になり、通い続けました。

 

そんな夜蔦の想い出2025です。

 

2月

St.Strawberry Soba

 

夜蔦は2人のシェフが基本、交代で担当するのですが、その個性の違いを楽しむのも一興でした。

 

2月は伊丹シェフによる繊細で美しい一杯。

 

青森シャモロックと天草大王を使った塩スープに、甘酸っぱいドライストロベリーが合います。

 

ドライフルーツを上手く取り入れるのが蔦ならではの技とセンスです。

 

 

夜は麺単品かコースを選べます。

 

月替わりのコースも毎月の楽しみでした。

 

3月

Perfect Vintage

 

3月は繊細な中にも”漢”を感じる高嶋シェフらしい、蔦的中華sobaです。

 

ブランド豚TOKYO Xと与論島ホロホロ鳥から抽出したスープは、繊細ながらも深く強い味わい。

 

classicではなく、vintageというセンスが好き。

 

 

コースも町中華を意識した内容。

 

4月

黄金和牛酸辣soba〜春雷〜

 

伊丹シェフの真骨頂的な一杯。

 

黄韮がスープを多い、食感的にもベストなサイズに刻まれていて、その細かい技に感動です。

 

貝をふんだんに使った塩スープには、唐辛子などのスパイスと黒酢や梅肉を使ったブレンド酢の風味が効いていて、まさに"春の雷"な味わい。

 

5月

Mar Nero Soba

 

黄金の次は黒。

 

高嶋シェフが手掛けた大胆なNERO(黒)な一杯は、地鶏と浅利のスープに、イカ墨やトマトピューレやオリーブオイルによる黒ペーストを和えています。

 

チコリの葉の小舟に、ホタテとリンゴのタルタルを乗せる遊び心。

 

 

コースもフルNEROな内容。

 

6月

黒醤豚骨 Soba

 

「中華そばとみ田」の協力で仕入れたTOKYO Xの豚頭骨を長時間炊き上げた蔦流豚骨。

 

TOKYO Xのチャーシューとミンチがパンチを加え、添えられている大葉・柑橘・梅鰹のペーストでさっぱりと味変をして楽しみます。

 

 

〆にセットのチャーシューご飯にスープを注いで、ひつまぶし風に。

 

Laska つけ Soba

 

こちらは夏の昼限定汁無し麺。

 

爽やかなスパイス感が絶妙なひと品。

 

山盛りパクチーが堪らない。

 

麺菓和合御膳

 

日本橋三越にて、江戸時代創業の榮太郎総本舗と奇跡のコラボが実現しました。

 

豆由来の餡子。

 

榮太郎の餡子を味噌や坦々のつけ汁やトッピングに使い、見事な調和を生み出すという、蔦らしい、そして、蔦にしか出来ない逸品。

 

7月

桃とイチジクの冷製 Soba・鶏 Soba

 

冷・温のWの夏。

 

冷は浅利と昆布の塩スープに桃と無花果、海老のマリネを合わせます。

 

爽やかな酸味を添えるキャビアライムもポイント。

 

温は青森シャモロックと天草大王の重厚なスープにチャーシューとサーモン、ホタテの燻製。

 

 

そして、これが高嶋シェフの最後の夜蔦でした…

 

8月で蔦を離れ、先日記事にした「竹緒-TAKEO-」開業に至ります。

 

8月

最上鴨つけ Soba

 

山形県最上地方の鴨を使ったつけsoba。

 

チャーシューもつけ汁も鴨。

 

2種の麺は煮干しスープに浸されています。

 

スープも麺も香りが最高で、食べ終わるのが悲しくなるひと品でした。

 

冷やし煮干し Bruno

 

昼の限定冷やしsobaは煮干しの旨味凝縮の一杯。

 

9月

沖縄拉麺

 

蔦流ソーキsobaは貝と豚骨、本枯鰹節などを合わせた上品、且つ深い味わい。

 

10月

醤油らぁめん 2022-2025

 

大西さんが2022に手掛けた"しょうゆらぁめん2022"を2025に再構築。

 

独自の配合でブレンドした醤油を重ねた、醤油が主役の一杯で、芳醇な薫りに酔い、スープを舌の上で転がし、じっくり味わいます。

 

 

別添えの吟麦麺はぬちまーすで頂き、麺の香りと風味を堪能します。

 

友へ 2025 -未来- 御膳

 

9月は大西さんを偲ぶ特別な会が催されます。

 

「飯田商店」コラボ会の予約は取れませんでしたが、後日、夜蔦会員向けにも提供されました。

 

黒毛和牛の牛骨、浅利、松茸、「飯田商店」による黒さつま鶏のスープに蔦の特製醤油を合わせた、これ以上無い、贅沢な極上スープ。

 

 

和牛サーロインのしゃぶしゃぶや、ゆめぴりかの出汁ご飯と共に。

 

11月

味噌らぁめん〜翠蘭〜

 

特製味噌ダレに青森シャモロック、比内地鶏、天草大王のスープを合わせた、奥深い味噌スープ。

 

粒マスタードやレッドマスタードがアクセントになり、コリンダーと蛤のソースが味に変化を加えます。

 

 

寒鰤の生雲呑や青森シャモロックのコンフィにズワイガニの冷製ケーキと、主役に負けぬ逸品たち。

 

12月

フォン・ド・WAGYU味噌つけSoba

 

2025ラスト夜蔦。

 

年末に相応しい贅沢な傑作。

 

特製味噌タレに黒毛和牛のスープを重ねた、芳醇な旨味爆発なつけ汁。

 

麺はマロンスープに浸けられていて、仄かなマロンの風味がつけ汁に爽やかさを加えます。

 

トッピングには黒毛和牛とクランベリー。

 

 

黒毛和牛に帆立に白子や雲丹…贅沢ディナー。

 

魔法にかかったかの様な特別な空間だった夜蔦ですが、今年1月で一旦、お休みとなりました。

 

理由は人手不足…

 

夏に高嶋シェフが独立、その後も離職者が続くのを見ていて、厳しいだろうなと心配していました。

 

当面は昼営業のみにして、人材育成と体制の立て直しを図るそうですが、果たして、再開が叶うか…

 

いずれにしても、夢の様な2年弱は私の人生において、とてつもなく贅沢な月日でした。

 

そればかりか、蔦との縁で茅ヶ崎の麺屋BISQに通うようになり、高嶋シェフの竹緒にも通わせてもらい…感謝しても感謝し切れない。

 

今年は昼蔦に通って、蔦が歩む新たなレジェンドを見つめていきたい。

 

以上、蔦の想い出2025でした。

 

 

蔦2024

 

竹緒-TAKEO-@小田原