夏の庄内漫遊2日目。

 

鶴岡市街巡り、最後は豪商の館です。

 

鶴岡公園の東側の街道をゆくと、一角を占める屋敷に辿り着きます。

 

◆旧風間家住宅(丙申堂)◆

(国指定重要文化財)

前蔵・医薬門(表門)

*読みは"ヘイシンドウ"

 

建物の名は、建てられたのが明治29年(1896)の丙申の年だった事に由来します。

 

因みに、"丙申(ヒノエサル)"は干支を組み合わせたものです。

 

主屋

*入館料¥500(2館共通)

 

巨大な屋根が訪れる者を圧倒する主屋。

 

風間家は元は新潟の沢庵藩の武士でしたが、後に商人となり、江戸時代中期に鶴岡に移住しって鶴岡藩の御用商人となりました。

 

明治時代には貸金業に転じて、鶴岡の産業振興や慈善事業に注力したそうです。

 

とおり

 

主屋の入り口から奥まで一直線に続くとおり。

 

柱を繋ぐ長押や天井の竿縁には、14mの一本物の杉材が使われています。

 

係の方に案内されて、まずは2階へ。

 

 

見所のひとつがこの屋根。

 

杉の皮で葺かれた屋根に石が置かれた、杉皮葺きの石置屋根。

 

庄内地方特有のものでしたが、現在残るのはこの旧風間家住宅と酒田の旧鎧屋のみ。

 

約4万個と言われる石が独特の美しさを生み出しています。

 

2階座敷

 

幕末に鶴岡一の豪商として名を馳せ、明治期には酒田の本間家に次ぐ大地主にもなった風間家。

 

風雅な豪商屋敷でありながら、質素な雰囲気が漂うのは鶴岡人(もしくは元新潟人)の気質でしょうか。

 

そんな風間家ですが、現在は育英事業に尽力しているそうです。

 

1階座敷・仏間

 

座敷と仏間から成る大広間。

 

この手間に茶の間と納戸があります。

 

額で掲げられた"知恩報徳"は"恩に感謝し恩に報いる"を意味する四字熟語です。

 

切子灯籠

 

仏間の前にゆらめく白い吊り灯籠。

 

100年以上前から風間家に伝わる盆灯籠で、火袋を美しい和紙の幡が飾っています。

 

まるで純白の陽炎か精霊、幽霊の様。

 

浄土真宗においてよく使われるそうで、係の方曰く、風間家には新潟村上から伝わったのだとか。

 

風間家のルーツしかり、庄内と新潟の繋がりを強く感じますね。

 

座敷

 

高い天井は高い身分の証。

 

 

豪邸の見所、釘隠し。

 

小座敷

 

大広間の脇に位置する小座敷。

 

来客をもてなしたそうです。

 

ここで映画「蝉しぐれ」の撮影が行われました。

 

 

小座敷にはめでたい鶴の釘隠し。

 

庭園

 

苔も美しい広大な庭園。

 

正面の座敷(大広間)、左右の小座敷と納戸から眺めることが出来ます。

 

縁側に佇み、心を鎮めて庭園に見惚れる…

 

この庭の四季を感じたい。

 

係の方も"美しいですねぇ"と、二人で暫し無言で庭園を眺めるひと時。

 

そういう瞬間に、日本人の普遍的な美的感覚や精神世界があるのだと思います。

 

当主の寝室

 

どこか地味な雰囲気の当主の寝室。

 

この辺りにも風間家の気質を感じますね。

 

板の間

 

屋敷の西側に位置する60畳の板の間。

 

食堂だった間で、ここで多くの小作人が食事を摂ったそうです。

 

 

注目なのは、三角形を組み合わせた梁のトラス工法。

 

築造の2年前に発生した酒田大地震を教訓にして、耐震性を考慮して造られました。

 

それから130年、今も屋敷を支え続けています。

 

大工部屋

 

板の間の階段箪笥を上ると、中2階の様なスペースに大工専用の部屋があります。

 

風間家住宅を建てたのが新潟村上の大工だった為、修繕時にこの部屋で寝泊まりをしたそうです。

 

小蔵(金庫蔵)

 

北側の端にある金庫蔵。

 

所狭しと並ぶ重金庫が往時の繁盛振りを今に伝えます。

 

因みに、風間家が営んだ貸金業は荘内銀行の前身となりました。

 

本邸を後にして、通りを挟んで建つ別邸へ。

 

旧風間家別邸(無量光苑釈迦堂)

(国登録有形文化財)

 

明治43年(1910)に建てられた別邸。

 

主に接待に使われたそうです。

 

 

破風が重なる風流な玄関から。

 

 

座敷に掲げられた"無量光"の書が無量光苑の由来。

 

そして、床の間に安置されている石仏釈迦像が"釈迦堂"の由来。

 

ダブルブランドみたい?

 

 

一面に広がる庭園。

 

この構図も新潟っぽい風情に感じます。

 

 

色付きの釘隠し。

 

庭園

 

躑躅や花梨、桜に椿紅葉と、四季折々の美しさが見事という庭園。

 

今年は雨不足で苔が芳しくないそうです。

(名産のだだちゃ豆の収穫に影響が出ているとか)

 

 

本邸同様、この庭園の四季も味わいたい。

 

ただ、開館は4/15〜11/30なので、雪景色を拝める機会は無さそうですが。

 

"冬は寒くて居られないのよ"と、係の方。

 

本当は本邸・別邸と数時間滞在したい位の気持ちでしたが、2日目の宿泊地、あつみ温泉に向かう時間が迫っていて、滞在時間は40分程…

 

次回はその分、じっくりゆっくり。

 

そう心に決めて。

 

後ろ髪を引かれる思いで胸をいっぱいにして、鶴岡駅行きのバスに乗り、駅に戻ります。

 

素晴らしき文化と風土の鶴岡。

 

またいずれ、遠くない日に。