追悼 山下和仁
去る1月24日、日本を超えて世界的
クラシック・ギターリストの山下 和仁氏
が亡くなった。
享年64歳。
今から22年前の2004年、
上野文化会館小ホールで
行われた山下和仁のギター・
ソロ・コンサートに行った。
タイトルは、「バッハリサイタル」。
オーディエンスは、中高年の男女が
大半だった。
舞台の袖から山下氏が閑かに現れた。
オーディエンスは一斉に息を潜めた。
軽くチューニングを済ませて、ゆったり
と演奏は始まった。
耳を研ぎ澄ませていたオーディエンスが、
山下氏の爪弾く1音1音の音の間に吸い込
まれていく様な演奏だった。
正に「間(ま)の芸域」を表現した演奏だった。
精確無比の速弾超絶技巧で、難曲
を弾きこなして世界を唸らせた若き
山下からの完全な脱皮。
かつての音符の連打による百花繚乱
の饗宴から、ゆったりと1音1音を玉を
磨くように、音と音の間に隠されたもう
一つの秘玉を浮かび上がらせるような
演奏。
山下氏自身も語っていた、
「挑戦しているのは
間(ま)の表現力」だと。
ギターの天才少年がヴィルトゥオーソ
(音楽の達人)に辿り着いた瞬間だった。
日本の「道」は、引き算の道、
そして「間」(ま)を究める道。
山下氏は、早すぎる人生を
自ら爪弾くギターの音色の
間(ま)に身を隠す様に消えて
しまわれた。
深く追悼の念を捧げます。
合掌。








