大塚の鈴木信太郎記念館の企画展「文学と美術の共鳴-フランス文学者・鈴木信太郎と芸術をめぐる物語-」みどころその3として、装幀のお話を。

 

まずその話に入る前に、先日触れた(仏文学者・鈴木信太郎と同姓同名の)画家・鈴木信太郎は、お菓子店「マッターホーン」の包装紙を手掛けていたようで、その見本の展示もありました。

 

 

 

 

さて、鈴木信太郎が訳したマラルメの詩集の装幀、及び扉絵は須田国太郎が手がけています。↓

ただ、有名画家の装幀にしては線がこころもとなくて、なんとなくインパクトに欠けます。

実際須田はあとで、「表紙や扉絵のデザインが貧弱だった」と反省の弁を述べていた、とのことです。

 

 

 

こちらは須田が鈴木に贈った鷲図(の複製)。

落款が右下に入っています。

これは鈴木が須田にプレゼントしたものだそう。

 

 

 

鈴木は器用だったようで、篆刻にも熱中していました。

須田に鈴木が贈った印譜が残されています。(こちらは複製)

 

 

 

他に、谷崎潤一郎にも(両者で打ち合わせたうえで)自作の篆刻を贈っていました。

彫られた文字は「雪後馮闌」。

なんだか難しい漢字ですが、馮闌とは欄干に凭れるという意味である、と記念館通信に書かれていました。

 

 

 

憧れの谷崎の知己を得るきっかけとなったのは、親友の画家・高畠達四郎(と辰野隆)だったと言われています。

高畠達四郎は、鈴木がもっとも信頼を置いた画家で、全集の装幀も手掛けています。

(展示中の作品のなかには、洒脱なノートルダム寺院のような絵も見受けられます。)

 

 

 

 

 

高畠が描いた鈴木の肖像画は、生前書斎に飾られていたようです。

現在は、期間限定で実物が展示されています。

 

肖像画作成中の高畠。↓

驚いたことにこの写真の撮影者は、かの土門拳です。

谷崎とか土門とか、、分野は多少違えども、一流の人のところには一流の人が集まるものだなぁ。

 

 

 

できた作品がこちら:

 

 


左は、高畠がパリ滞在中、門番の子供を描いたプチ・ジャンの肖像。

やはり鈴木のお気に入りでした。

右は高畠による別の本の装幀。

 

 

 

在りし日の書斎の様子を撮影した写真にも、このプチ・ジャンの肖像画が写っていました。

 


 

 

お宝に溢れた実に魅力的な書斎です。