ここ最近沢木耕太郎さん著「深夜特急」の話や、建築家磯崎新さんの話を書いてきました。

 

・「深夜特急」装幀に使われた仏人Gデザイナー(7/7)

・磯崎新がジョン・レノンのために構想した茶室の版画(7/8)

 

 

そして再び磯崎さんのお話をするわけですが、これら一連のきっかけは学習院大の辻邦生展でした。


ー学習院大の辻邦生展の展示のなかに、親友・磯崎新夫妻に関するものが複数あり、両者が親しく交流した様子がうかがわれた;

 

ー磯崎新といえば、ウフィツィ美術館新入口のコンペで優勝したのに暗礁に乗り上げたままお預けを食らってぷんぷんプリプリ怒っていた様子が印象的。(イタリア文化会館の講演会で話を聞いた。)でも、辻さんと交流するときは全く違う顔を見せていたのだろうなぁ;

 

ーついでに磯崎氏の交友関係をちょっと調べたら、沢木耕太郎の名前にぶちあたった。沢木耕太郎著「深夜特急」のなかに、実際磯崎夫妻のことが書かれているという;

 

ー15年ぐらい前に友人に勧められて読んだけど、まったく記憶になく、読み返すことに。手に取ると、表紙のカバーがシャープでかっこいいことに気づいた。デザイナーを調べたら、なんとアールデコ展で時折目にするカッサンドルの作だという。へぇ、そうなのか、と脱線してそのことをブログに記したりした;

 

ーで、ようやくその「深夜特急」の当該箇所を発見(<=イマココ)

 

このテヘランで、とにかく急いでしなければならないことがあるのをあらためて思い出した。今日の夕方までに磯崎夫妻をつかまえなくてはならない。明日はもうテヘランを発ってしまうだろう。・・・しかし、困ったことに、何というホテルに泊まっているのかさっぱりわからないのだ。(No.4/P.136)

 

かくしてーー

貧乏旅行者・沢木さんは磯崎さんたちにご馳走してもらうためホテルの情報もなにもないままテヘランにいる磯崎さんを探すことに。

でもそこはさすが沢木さん。

まず上等なホテルに行き日本人旅行者を見つけてガイドブックを見せてもらう。(沢木さん、ガイドブックなしに旅してた。)

磯崎さんがいそうなホテルに電話をするもののスカ。

近くに日航テヘラン支店を見つけ、ホテルリストをもらって日本人御用達ホテルに〇をつけてもらう。

すべてのホテルに電話をしたけどやはりスカ。

こうなったら意地、とばかりに〇のないホテルの上から順番にかけることに。

最初のホテルに電話をしたら、見事ビンゴ。

さっそくご馳走してもらったはいいが、久々に胃に詰め込んだ豪華な食事に体がびっくりしてしまい、ホテルに戻ったとたん、トイレに駆け込む羽目になる・・・


 

もともと、頼まれ仕事で沢木さんが磯崎さんとの雑談企画に乗ったことから夫妻との交流が始まった。

意外な取り合わせだけど、旅に出る前も磯崎さんたちに歓送会を開いてもらったらしい。

 

磯崎さん、面倒見がいい人だったんだなぁ。

そして沢木さんのサバイバル能力はやはりすごい。

広いテヘランの街のあまたあるホテルのなかから探し出すとは。

ガイドブックもないのに。

さらに手持ち資金が豊富ではないのに、ホテル探しのために公衆電話から電話をかけまくり、多くの小銭を献上することはいとわなかったようだ。

ご馳走への執念、すごい。

 

 

23/1/16に触れた磯崎氏の処女作↓

 

 

 

 

 

 

 

その約30年後に手がけた東京グローブ座↓