日曜の夜、ソファに座ってスマホをぼんやり眺めている。
明日からまた仕事が始まる。それだけで、胸が重くなる。
「あの上司さえいなければ」
「あの会社さえまともだったら」
「あの人が足を引っ張らなければ」
頭の中で、また同じ言葉が繰り返されている。何度も思ってきた。何度も誰かに話してきた。でも何も変わっていない。変わったのは、自分が少しずつ、疲れていったことだけだ。
こういうとき、頭の中はだいたいこうなっています。
「自分は悪くない」
「環境が悪いんだ」
「あの人さえいなければ、うまくできたのに」
その気持ち、分かります。理不尽な環境があるのも、足を引っ張る人がいるのも、事実としてあります。
でも、ここだけは正直に伝えさせてください。
他人や環境を非難し続ける限り、あなたは一生、今いる場所から動けません。
先日、29歳の女性、さやかさんからこんな相談が届きました。
さやかさんは、転職を繰り返していました。最初の会社は上司が合わなかった。次の会社はチームの雰囲気が悪かった。三社目は給与が低かった。どの職場でも、半年から一年で限界を感じて辞めてきた。
「また転職を考えています。今の職場も、結局同じような人間関係で。私って、職場運が悪いんでしょうか」
私はこう聞きました。
「三つの職場に共通していたことは、何だと思いますか」
さやかさんは少し黙って、答えました。
「人間関係が、うまくいかなかったことです」
「もう一つ、共通していることがあります」
「何ですか」
「あなた自身が、そこにいたことです」
さやかさんは黙っていました。
私は続けました。
「環境を変えることは、間違いではありません。でも、自分の中に原因がある部分を変えないまま環境だけ変えると、同じことが繰り返されます。職場が変わっても、あなたの反応のパターンは一緒に移動します」
「私に原因があるということですか」
「大なり小なり、必ずあります。それはあなたが悪い人だということではありません。ただ、うまくいかないときに必ず一つだけある共通点、それがあなた自身です」
さやかさんはしばらく考えてから、こう言いました。
「怖いですね。認めたくなかったのかもしれません」
私はさやかさんに、一つだけ提案しました。
次の職場を探す前に、今の職場でうまくいっていないことを紙に書き出すこと。そしてその一つひとつに対して、「自分にできることは何か」を考えること。
さやかさんは翌週から始めました。
書き出してみると、こんなことが出てきました。
報告のタイミングが遅い。確認を怠って手戻りが増えている。気に入らない人と必要以上に距離を置いている。
「書いてみたら、思った以上に自分に原因がありました。見たくなかっただけで」
そこからさやかさんは変えていきました。報告を早くする。作業前に一度確認する。苦手な人とも、業務上の会話だけは丁寧に続ける。
三か月後、連絡が来ました。
「今の職場で、初めて『いてくれて助かる』と言ってもらえました。転職しなくてよかったです。というより、転職していたらまた同じことになっていたと思います」
さらに一か月後、こう言いました。
「自分に原因があると思えるようになってから、なんか楽になりました。誰かのせいにしているときの方が、ずっと苦しかったです」
他人や環境を非難しているとき、あなたは自分の外側に原因を置いています。外側にある原因は、あなたには変えられません。だから、何も変わらない。何年経っても、同じ場所に立ち続けることになります。
自分に原因があると気づいたとき、初めて変えられるものが生まれます。自分の行動は、自分で変えられるからです。
それは自分を責めることではありません。自分に力を取り戻すことです。
もし、どうしても自分に原因が見当たらないなら、環境を変える努力をしてください。ただし、自分の中を見る前に環境を変えても、同じことが繰り返されます。順番が大事です。
今日からできること
① うまくいっていないことを紙に書き出す
頭の中で考えるだけでは、見えないものがあります。紙に書くと、自分のパターンが浮かび上がります。書き終えたら、一つひとつに「自分にできることは何か」を添えてください。
② 「あの人のせい」を「自分はどうできたか」に置き換える
誰かへの不満が出てきたとき、一度だけ問いを変えてみてください。「あの人が悪い」ではなく「自分はどう動けたか」。答えが出なくてもいい。問いを立てるだけで、視点が変わります。
③ 小さく一つだけ変える
全部を一度に変えようとしない。今日、一つだけ変える。報告を一回早くする。確認を一度増やす。苦手な人に一言だけ話しかける。小さく変えた事実が、自信になります。
うまくいかないとき、誰かのせいにすると楽になります。でもその楽さは、一生変わらない場所に留まる代償です。
自分に原因があると思えた瞬間から、あなたは動き出せます。
謙虚さと努力は、才能ではありません。選択です。
今日、その選択をしてください。

