夜、洗面台の前でため息をつく。
鏡の中の自分を見ながら、今日も同じことを考えている。
「もっとお金があれば」
「もっと才能があれば」
「もっと若ければ」
SNSを開けば、同級生の昇進報告。
友人のマイホーム。
キラキラした旅行写真。
スマホを閉じたあと、胸の奥が重くなる。
自分に「無いもの」だけが、くっきり浮き上がる。
まず伝えたい。
あなたは悪くない。
比べてしまうのは普通です。
足りないところに目が向くのは、人間の本能です。
だから落ち込むのも自然な反応です。
でも、ここで立ち止まると、時間だけが過ぎていきます。
無いものを数える作業は、行動を止める力があります。
たとえば、こんな場面。
転職活動中。
求人サイトを見ながら、応募条件に目を通す。
「経験3年以上」
「英語必須」
「マネジメント経験」
画面をスクロールしながら、
「私には無理だ」と結論を出す。
まだ応募していないのに、すでに負けた気持ちになる。
もう一つ。
子育てと仕事を両立しているあなた。
夕方、保育園に迎えに行く。
帰宅後は夕飯、洗濯、連絡帳の確認。
疲れ切った状態で、他のママのSNSを見る。
「手作りおやつ」
「英語教室」
「習い事三つ」
自分には時間が足りない。
余裕がない。
できていないことばかりが目につく。
どちらも共通しています。
「無いもの」に焦点が当たった瞬間、体が止まる。
ある女性から、こんな相談がありました。
「私は特別な資格もないし、人脈もありません。起業したい気持ちはあるけれど、何も持っていない自分が恥ずかしいです」
彼女は、毎日「足りないリスト」を頭の中で作っていました。
資金がない。
実績がない。
自信がない。
私はこう伝えました。
「持っているものを書き出しましょう」
彼女は最初、戸惑いました。
「何もありません」と言いました。
それでも一緒に紙に書きました。
- 10年間続けた接客経験
- クレーム対応で培った傾聴力
- 3人の子どもを育てた段取り力
- 毎日家計を回してきた管理能力
書き出した瞬間、表情が変わりました。
「無いもの」しか見えていなかった視界に、「あるもの」が現れた。
そこから彼女は動きました。
接客経験を活かしたオンライン接遇講座を小さく始めました。
最初の受講者は2人。
そこから口コミで広がりました。
彼女は言いました。
「最初から完璧を目指していたら、今も何もしていませんでした」
無いものは、今すぐには増えません。
でも、あるものは今すぐ使えます。
今のあなたにも、必ずあります。
- これまで乗り越えた出来事
- 積み重ねた経験
- 助けてくれる一人
- 今日使える時間30分
悲惨な状況でも、ゼロではありません。
ゼロではないなら、そこから動けます。
今日からできること
① 「あるものリスト」を紙に書く
頭の中ではなく、紙に書く。
スキル、経験、人間関係、時間。
小さなことも含めて10個書く。
書き終えるまで席を立たない。
② その中の一つを「今日使う」
資格がなくても、経験は使える。
時間がなくても、15分は使える。
誰か一人に連絡する。
1ページ読む。
1件応募する。
行動は小さくていい。
③ 無いものの検索を止める
SNSで比較しない。
求人条件を全部見ない。
完璧な準備を探さない。
今あるもので、今できることに集中する。
努力は才能ではありません。
今あるものを使い切る姿勢です。
持っていないことを嘆く時間を、
持っているものを動かす時間に変える。
努力し続ける人に、偶然は味方します。
幸せは空から落ちてきません。
動いた人の足元に転がっています。
鏡の前のあなたへ。
足りないものを数えるのは、今日で終わりにしてください。
使えるものを数えてください。
あなたは、もう十分に材料を持っています。

