所々略しながら書いています。写真や画像は福島第一原発事故関連のを採用しています。登場人物、県名、原発施設名は仮名となっています。
≪メルトダウン再び≫
「で、どうなんだ?放っておいたら、格納容器が爆発するのか、しないのか、どっちなんだ?」と官房長官がギロリと原子力規制委員長を一瞥した。
「周辺線量から見て、多少のリークが起きていますから、爆発にまで至る可能性は低いと思います」
そう原子力規制委員長が答える。しかし、格納容器の内圧が、フクシマのときのように減少せず、最高使用圧力を超えたままで高止まりしていることについて、内心かすかなわだかまりを感じていた。
原子力規制委員長が官房長官に答えた、その瞬間だった。
ド、ドッ、ドーン!!という激しい大音響と振動が、テレビ会議システムを通じて伝わってきた。官邸のオペレーションルーム自体が激しく振動したような臨場感である。
「た、大変です、大変です。いま、ものすごい衝撃が起きました。6号機から7号機かは、ちょっとわからないんですけど・・・」所長代理が免震重要棟から叫んでいる。
新崎原発が常時公表しているモニタリングデータが明らかに跳ね上がっている。
「線量が急上昇しています!」関東電力原子力事業部長が叫ぶ。格納容器の圧は急激に低下している。(略)
全国に放映されているテレビ画面には、6号機の建屋が全壊し、その隣の7号機の建屋も半壊している姿が、無残にも映し出されていた。6号機の格納容器が爆発したことを示している・・こうなると7号機の建屋も時間の問題だろう。すると、原子力規制庁から駆け付けた原子力のプロである緊急事態対策監が冷静に通告した。
「雲と雨の行方次第では、首都圏が壊滅するな。6号機、7号機と、2炉心分の放射性物質が大気中に放出されたら、風向きを考えなくたって、170キロ圏内くらいは、年間50ミリシーベルトの強制移住レベルになる。北西の風に乗って放射性プルームが関東平野を襲ったら、250キロ離れた東京だって、まず間違いなく、人っ子一人住めなくなる」
官邸のオペレーションルームにいるすべての人間が凍り付いた瞬間だった。(略)
6号機と7号機の建屋が破壊されたということは、使用済み核燃料プールを覆う構造物がなくなっていることを意味する。電源がないということは、数時間後にはプールが沸騰し、使用済み核燃料がむき出しのまま、大気中に晒されることになる。何が何でも電源を繋がなくてはいけない。
状況は、フクシマの事故の後に近藤駿介原子力規制委員長が作成した【最悪シナリオ】に近づいている。
新崎原発の7基とその使用済み核燃料プールが制御できなくなったら、チェルノブイリの何十倍という量の放射性物質が放出され、少なくとも東日本が壊滅する。250キロ圏内の5000万の人が、何十年も、その地域から避難し続けなくてはならなくなる・・・。
(次回へつづく)

