≪メルトダウン再び≫
原子炉の電源がストップしたということは、原子炉本体に冷却水を送り込む手段がなくなったことを意味している。あとは、核燃料のメルトダウンによって膨張する内部圧をベントで逃がさなければ、格納容器が爆発する。世界最高の安全水準と日本国政府が胸を張った新崎原発6、7号機ではあるが、世界的には常識となっているコアキャッチャーすら設置されていなかった。
(コアキャッチャーとは)
https://socialnews.rakuten.co.jp/link/315199
原子力規制庁のシミュレーションでは、冷却が止まれば直ちにメルトダウンが始まり、3時間後にはメルトスルーして圧力容器を破壊、7時間後には格納容器を破壊、20時間後には建屋の基礎を貫通、そして、大量の放射性物質が外部に放出されると予測されていた。
コアキャッチャーがあれば、それに加えて12時間以上は稼げたであろうが、それはもう後の祭りだった・・・。格納容器の圧は既に最高使用圧力を超えていた。
「周辺線量が上がってきているんだし、圧もこれだけ高いんだから、もう相当メルトダウンは進行していると見るべきだろうっ」と、関東電力本店の原子力事業部長が叫ぶ。
「今日中には、ベントしなくても、自然にベントになります」とは所長代理。
「自然にベントってどういうことだ?」と、官房長官が問う。
「原子炉建屋から放射性物質が溶け出るってことですよ。格納容器がもたずに爆発するか、メルトスルーするか・・・爆発の仕方次第では日本沈没です」と、原子力規制委員長が説明する。
(中略)
「知事。もう、避難指示から4時間経過しています。避難の確認が取れていないだけなのですから、避難は終了したとみなしてしまってもいいんじゃないですか?」と、官房副長官が県知事にお伺いを立てる。
「県内は、もうPAZ、UPZに限らず、全域が大渋滞しています。いまベントされれば、新崎県民全体が放射能に晒されます。絶対にやめてください!」
知事としても、フクシマの事故のように、このテレビ会議システムの映像と音声が後々公開される可能性があることを考えれば、軽々にイエスとはいえない。(略)
「そもそも、ベントしなければ日本が沈没してしまうかどうかもわからないんですよね?メルトダウンした燃料が建屋の基礎を貫通しても、格納容器の健全性が一応保たれれば、ベントよりもまだましかもしれないですよね?」と、県知事。
一理ある考えだった。問題は、フクシマの事故の教訓を生かすことができていない、ということだ。事故後5年近くが経過したフクシマですら、メルトダウンした燃料がどれくらい格納容器にとどまっているのかどうか確証がない。
フクシマを先例として検証し、対策を講じないまま、新崎原発を再稼働しているので、メルトダウンしたデブリがどのような挙動を示し、どのくらいの水素や一酸化炭素や水蒸気が発生し、格納容器がどの程度耐えられるのか、ということが一切わからないのだ。
(次回へつづく)

