先日

 

某都市銀行の名を語る 男性から

電話を受けた

 

3分ほどで 終わりますので

宝くじについての アンケートに

お答えいただけませんか

 

 

その銀行は

家から 一番近いところにあって

 

親戚も 勤めているし

 

両親が

今の家を 買うとき

ローンを立てた 銀行だ

 

 

我が家にとっては

少なからず ご縁がある

 

 

なので

もちろん よろこんで

アンケートに応じた

 

 

 

電話の主は 多分

ドラ夫くらいの年齢の 青年

 

 

3分

 

と言ってたくせに

彼は けっこう おしゃべりで

 

 

ジャンボ宝くじは

回転する的に向かって

弓が弾かれて

当たった数字が 当選番号になるけれど

 

週2回抽選がある ロト等は

地元のお祭りで使う

ガラガラ のような機械をつかって

 

出てきたボールに 書かれた数字で

当選が 決まる

 

とか

 

当選したお金に 税金はかからないこと

 

宝くじの 売り上げの一部は

災害などのときに 被災者に送る

義援金として 使われている

 

などと

宝くじにまつわる いろいろな話を

してくれてる中で

 

 

 

でも…

 

青年は 義援金の話が出た時

声を 少し曇らせて

 

その金額が

十分足りている状況 とは

言い難いんですよね

 

だから 当選した方には

銀行の窓口で

当選金の一部を 寄付するご案内を

させていただいているんです

 

と言った

 

 

へえ…


 私は ちょっと感心した


確かに

ラッキーでお金を手に入れた人が

寄付する確率って

普通より 高いだろう

 

窓口でのお願いって

けっこう賢いやり方かも

 


 

 ところが

 

青年は

 

でも ほとんどの人は

寄付を断るんですよね

 

と言った

 

 

それを聞いた時

私の頭の中に 唐突に

水戸黄門のテーマ曲が 浮かんだ

 

♫人生楽ありゃ 苦もあるさ♫

 

 

それが 2~3回リフレインされた 後

今度は また 別の曲が浮かんだ

 

♫裏の畑で ポチがなく~

正直じいさん 掘ったれば♫

 

 

日本人って 幼い頃から

この手の話を通して

けっこう 善悪の定義を

学んでるんじゃないかな


特に 昭和生まれは

 

 

ウソをついたり 欲張ったり

幸運を独り占めしたら

いけません

 

いつか 必ず

しっぺ返しがくるよ

 

 

 

だから 青年から

 

お客様だったら

もし当選したら どうされますか

 

そう 聞かれたとき

 


日本人を もう60年以上

やっている私

 


崇高な思想

というわけでは 全然なく

むしろ


しっぺ返しは イヤだもんね


という

多分に 低次元の発想から



ほんの少しでも

寄付はする と思う

 

と答えた

 

 

 

 

その直後だった

 

青年は

変なことを 言い出した

 

 

実は…

 

ご親切な顧客の方だけへの

お話なんですが

 

当選したら

必ず 寄付をする という約束を

守ってくだされば

宝くじの当選番号を お教えします

 

……

 

ぴ~ぽ~ぴ~ぽ~

 

私の頭の中で

小さく アラームが鳴った

 

 

実は

ガラガラの中の ボールに

磁気が 仕込んであるんですよ

 

だから 銀行の方で

出玉を 操作することができるんです

 

 

ぴ~ぽ~ぴ~ぽ~

 

 

疑ってるんですね

そりゃ そうですよね~

 

 

じゃ 一度試してみますか

 

今日は

ロトの 当選発表がある日で

今晩6時半くらいに

お客様に

当選番号を お電話でお知らせします

 

明日 新聞に

当選番号が発表されますので

その番号と

私がお伝えした番号が 同じかどうか

ぜひ 確認してみてください

 

 

ぴ~ぽ~ぴ~ぽ~

 

 

ふう~ん

番号教えてくれるなら

聞いた後 すぐに

その番号のロトを 買いに行ったら

私 大儲けできるじゃない

 

うちから 3分のところに

宝くじの売店 あるし

 

 

そんな私の考えを 見透かしてか

青年は

 

あ 宝くじ売り場は

6時半より 遅くまでやっているところも

ありますけど

 

これは 練習ですからね

 

番号確認するだけで

絶対に 購入しないでくださいね

 

 

……

 

私の中で

もう アラームは鳴らなかった

 

もはや 確信になっていた

 


 

そもそも 我が家の電話番号は

どうやら 闇ルートで

出回っているらしく

 

この手の電話は

今までも 度々来てるしね

 

 

 

 

 

 

今回描いたマンガと 違って

 

電話を切る時

私は 青年に

怒鳴ったりはしなかった

 

 

私は 自分のことを

けっこう おせっかいオバサンだと

思っているけれど

 

道を踏み外しかけている

見ず知らずの 若い男を

叱るほどの 精神的余裕が

 

その時の私には なかった

 


その直前

自分の息子との バトルで

心身共に くたびれ果てていたから

 

 

ここで その内容を

書くことはしないけど

 

いや もう

ホントに

息子 ドラ夫には 怒り心頭で

 

世間の常識を 大きく逸脱する

その 思慮のない行動には

ただ ただ 呆れたのだった

 

 

そう

 

結局

 

ドラ夫にも その青年にも

自分の軽率な行動から 引き起こる

いろいろなことには

最後まで

自分で 責任をとってもらうしかない

 

 

 

 

私は 最後に


青年に

所属する 銀行の部署名と 名前を

聞いた

 

宝くじ部の 大谷です

 

彼は 淀みなく 答えた

 

 

電話を切ってから 私は

宝くじの事務を受託している 銀行に

電話をした

 

 

私が 事情を説明し始めると

 すぐに

 

あの…お言葉を遮って すみません

それ

最近よくある 詐欺です

 

と言われた

 

 

そして 最近の詐欺について

いくつか情報を教えてもらい

 

個人情報とか 伝えてないですか

 

たいへんでしたね

今後も 気をつけてくださいね

 

と労われ 電話を切った

 

 

 

 

 

私に電話をかけてきた 青年が名乗った

 

大谷

 

という名前は

もちろん 偽名だろう

 

 

もしかして 今 絶賛大活躍中の

MLBの大谷選手にあやかって

つけたのかな

 

大谷選手に

自分の 夢や希望を

重ねていたのかな

  


 だとしたら…


 



 

彼には 直接 言えなかったけど

 

おせっかいオバサンは

勝手に 思ってる

 

 

真っ当に生きなさい

 

逃げるんじゃない

 


そうすれば 人生は

まだ 修正可能


夢に近づく道は ある