海坂藩紀行 藤澤周平をたずねて……
そこには川のせせらぎ、蝉のしぐれ鳴き、風の葉音、豊かな自然の息吹……。
田澤稲舟。恋する乙女は∞の美のパワーを秘めて新たなエネルギーを産み出ずる。
ゆたかな土壌に育まれた士風が魅力ある人間を育てる。
藤沢文学にも田澤文学にも共通している筋、そう、筋がある。
人間としての一本通った筋。
それの研究に現地に飛んだ。
庄内上空を鳥瞰

はなみずき

ゼラニウム
新渡戸稲造の「武士道」と西洋の騎士道と紳士道の共通点は道、
なれば礼に始まり、礼に終わる。
藩主書見、引見の間。
殿、そこのページは
先程お読み終えました。
これら、一連の後述資料*から人間の歴史を掘り起こして視るに、一途な日本人の文化が凝縮しているけなげなさに愛おしくて胸が詰まる思いがしてきます。
泣きたくなってくるのを我慢して、この思いをつとめて客観的に分析してみれば、ひとつに現地ならではの臨場感、いまでは地域性という匂いで五感に訴えかけてくるリアリティが何層にも連なったオリジナルな発見として出逢うからです。その地域の方々と話してみるとね。
活きてきた歴史というか生活が伝わってくるのです。
そんなとき人間の温かな重みに人間に生まれてよかったとしみじみ実感するのです。
それはひとつに人情であったり合言葉(キャッチコピー)であったりする。
合言葉、ここでは藤沢文学にも度度登場する「城下町」というキーワードで語ってみましょう。
そこには統治する徳に長けた者と統治されて奥ゆかしく平穏無事に生活する者が共存していました。
自ずと秩序の中で育まれた城下町の矜持、自尊心のような自負もあったでしょうし、時にはこころの拠り所でもありポリシー(信条)として奮起した合言葉でもあったでしょう。
独特な「城下町」というニュアンス……この言葉の抱く響きはなんでしょう。
これは私個人的な解釈ですが、城下町の中には連帯とか郷土愛のような情緒をも含んでいるような気もするのですが如何でしょう?
鶴ヶ岡城、城下町である鶴岡市内。そこに三省館のモデル庄内藩校・致道館が今なお存立する。往時の面影を残して。
また近代、別の城下町なれど、瀬戸の花嫁~私の城下町♪のような平和でのどかな日々のイメージも浮かんでくるのですが……。
やがて、そこから物語は起承転結へ……。統治者側の焦燥などに因る拙速が入り混じりドラマが構成、展開されていく。まず典型的なパターンですね。
用心棒日月抄の藩主御家騒動然り、欧州の古城を舞台にしたシェイクスピアの一連の戯曲も人間の欲望があるから読む人見る人がいてそれを創作のリアリティで書く者も居て。
たとえば、こうです。
恋する乙女を見初めたせっかちな横恋慕も……。まるで沙翁の「真夏の夜に夢」など早とちりから起こる悲喜劇の騒動ものの如く、現代の身近にも起り得る嫉妬、ねたみ、ひがみなど人間の心の弱さ喜怒哀楽を衝いた小説は星の数ほどあれど、どこでオリジナル表現しキラッと輝くか、それこそ致道館教育の賜物である”個性”です。
書き手は想像のリアリティを駆使して硬軟緩急自在、じわじわ読み手のこころを鷲掴みにしていく。
とまあ、純文学の楽しみはつきません。
などと古今東西時代により多少その振幅の大小はありましょうが寄せては返すさざ波のような繰り返しで、地球はまわっているようでございます。
ただ、惜しむらくは、ミレーの絵画「落穂ひろい」のような政民共存関係のゆたかさを描いた万民共通の文化美術品が日本に今までなかったというのは真に残念で、今後映画だけでなくデジタルに切り取った絵画でも信頼の主従関係をゆたかに描き優れた世界に誇れる本物の芸術文化が誕生してほしいと願うものであります。
ちなみに、外国文学の模範的表現を付記しますと
題名は「奇跡の人/ヘレン・ケラー自伝」小倉慶郎/訳(新潮文庫\362)~抜粋
45p.<「愛も手で触れることはできません。だけど、愛が注がれる時のやさしさを感じることはできます。
愛があるから、喜びが湧いてくるし、遊びたい気持ちも起きるのよ」
その瞬間、美しい真理が、私の脳裏にひらめいた----私の心とほかの人の心は、見えない糸で結ばれているのだ、と。
そして
138p. <中でも、作文の授業が一番楽しかった。活気のある講義で、いつも興味深く、生き生きとし、ウイットに富んでいた。
講師のチャールズ・コープランド氏が素晴らしい。今までのどの教師よりも、文学のオリジナルな新鮮さと力強さを目の前に再生できる力を持っている。
わずか一時間の間に、余計な解釈や説明はなしで、昔の巨匠たちの「永遠の美」を味わうことができる。
巨匠たちの見事な思想を堪能し、
「精神と形式が完全に調和し、真理と美が古き時代のうえに花を咲かせる。まさに完璧な美を目にした」という思いを抱いて、家路につくことができるのだ。>
以上、途中までですがなんと素晴らしい表現なのかとついつい沈黙を破ってブログ紹介せざるをえなかった次第。
特に「人間ほどおもしろいものはない」というくだりである。
苦楽しいという表現をされる方もいらっしゃるが、楽しいことばかりではフラット(平凡)な人生で、感動がいまいちなのに比べ、ハンデを負ったり苛めにあったりしても、苦難や試練に屈せず、決して諦めなければ、感動が倍加し人生に弾みがつく。
と多くの著名人が語ってることは人生の本音とも言えるでしょう。
ややテーマからそれてしまいましたが、まとめますと藤沢周平氏と田澤稲舟女史と致道館の筋を辿ってみれば、奥ゆかしさの中に堪えて辛抱しての義憤、勧善懲悪と人間の喜怒哀楽をも表出し、しいて申すなら、いかなる個性であれ生きているよろこびを寛容なこころで享受しようじゃないか、と。まるで福祉のようなヒューマニズムが貫かれているように感じました。 (吟)
*<参考資料>:『蝉しぐれ』の世界(鶴岡市立藤沢周平記念館 開館記念特別企画展)
『用心棒日月抄』の世界(鶴岡市立藤沢周平記念館 開館記念特別企画展)
藤沢周平と「海坂藩」を旅する(徳間書店2012年11月15日初版発行)
海坂藩の面影(第3回街歩きマップコンテスト日本観光協会賞 受賞/鶴岡市観光連盟)
ほか
<お知らせ>
次回🌸はなみずき❷
は、今週金曜日正午発行
ワープを楽しんで下さい。
SPECIAL THANKS TO
JTB
ANA
WASHINGTON HOTEL TSURUOKA
鶴岡観光協会
& 鶴岡市の皆さん o(^▽^)o ☆-( ^-゚)v
それでは また❤
~FIN~















