「ワンス アポンナ タイム イン ハリウッド」
ハリウッドのひと頃を懐かしく思って観た映画備忘録を記そう。
レオナルド・デカプリオが年を経ったらこうなるのか。
ロバート・デニーロが年を経ったらああなった映画もあったが……。
日本も海の向こうもおんなじ、新人が二の線で売り出しても、やがてはふてぶてしい悪役をやるようになる。と相場が決まっているようだ。
そして、もう一つ共通の相場がある。
それは、どんな名優でも、生きている動物や、子役と共演したら喰われてしまう。
というLAW(掟)が今に生きていることだ。
この映画はネタバレに神経を使うようなストーリー仕立てではなく、60年代の米、ベトナム戦争~ヒッピー~西部劇~ドライヴインシアター、キャデラックなどのカー&ヒッチハイクなど往時の空気を醸し出す美術や音響などで、古き良き時代を作り手と共に楽しめばいいだけの娯楽作品。
ただ、さすがはデカプリオ、キメどころでは老いたりと言えど、無駄のない演技でホロッとさせるキャリアには脱帽だな。
そしても一つ、時代の変化を感じさせる煙たい小道具である紙巻きたばこ。当時はあんなに、パカパカ吸っていたのか?
はい、用意!で煙草に火をつけ、ゴホッ、ゴホッ。何度もテストしてやっと本番。
そして1発でOKになればいいが……。ゴホッ。
そしてデカプリオは役からだけではない、変な咳をしていたな。見るからに不健康極まりない映画である。思わず「おい、換気扇を回せ!」と言いたくなるほどスクリーンが霞んでいたのじゃないかな。これは、わざと誇張して煙たがられるように作って健康環境に対する意識を持って貰おうという作り手の犠牲的精神もあったかとも思われる。
役者もいくら仕事とはいえ、撮影で何本も何本もケツからヤニが出るまで吸わされて、寿命を縮めて、しかも、それを美味そうに吸わなければならない精神と肉体の離反、相克。苦痛や生活習慣病になるのではないかと観ている方がハラハラ同情したくなってくるような状態だ。
ま、それはハリウッド映画の影の部分で、ちゃんと光の部分は存在していた。
劇中劇のあと、演劇人には分かる共通の”あるモーメント”が伝統的にはめ込まれていた。
……それは、本番のシーンで、役になりきった素晴らしい迫真の演技でカーットッ!……
OKが出た時、その場にいた者は昂揚し、それぞれの感動を、ある者は言葉で、ある者は抱擁で、そしてある者は言葉も表情も崩さず、ただ抑えきれない一条の光る雫で抑えた演技をする。
やっぱり、これはハリウッド映画だな。と思った。 (吟)



