お話




心優しい愛あふれるあなたへ




実話です。

ご相談者から、

お許しいただき、掲載いたします。

お読みください。


念のため、

私とは無関係です。





雨のなか、付き添い終了した僕。

行き先は、

女性弁護士のいる法律事務所。


僕の父が亡くなり、半年。

亡くなった後の事務処理の煩雑さに、辟易していた。

兄は、僕に一任すると言い、現金の財産がないことにガッカリした様子。

母ひとりで行かせるわけにはいかない。僕は、法律事務所へ母とふたりで通う。


わかったことは、

仰天することばかり。

なんと、父に愛人がいた。

おまけに、子どもまで。


父の様子がおかしいことには気がついてはいたが、

死んでからも、僕や母に面倒をかけるのかと、ほとほと、嫌になる。

反面教師とは、父みたいなひと。

できたら、反面教師の父親なんて、僕はもちたくなかった。恨みたくなる。


女性の弁護士は、僕の顔をまじまじと見た。そして、僕に言った。


「嫌になるのは、お察ししますよ。

親と思わず、他人と思って。」

思いたいものだ、そんなふうに。


弁護士、法律事務所とは、父の死に直面するまで、無縁だった。

事務所は、ビルの最上階にあった。

通された相談室からは、秋が深まる京都の街を眺めることができた。

久しぶりに見た美しさから、僕の直面している現実が更にひどく感じられる。


和定食屋さん、

オシャレなカフェ、カレーライス屋さんが1階にズラリとあった。

そこを通ると、

とても柔らかな雰囲気があった。

父のことがなければ、

カレーでも食べたいものだ。


法律事務所には、先客がいた。

年齢は、70代位の女性。

エコバックを2つも持って、まるでお買い物帰りみたいな様子。

振り返って、こちらを見てきた。

まるで、パアッと、華やかな花が咲いたような笑顔だった。

暗い表情の母と僕は、その笑顔に、ちょっと困惑した。

良いことがあるひとも、法律事務所に来るんだと僕は思った。

法律事務所には、トラブルのイメージしかなかったから。


法律事務所での打ち合わせを終えたら、もう3時だった。

昼食もとっていない僕と母。

なんて、かわいそうな親子だ。

僕は、父から、死んでからも、すっかり傷つけられた母を労りながら、家に連れて帰った。


お茶を入れて、母にすすめ、ほかほかお弁当屋さんへ行った。

笑顔の可愛いレジのお嬢さんに注文。

父のことが頭にきていて、

思わず、一番高いお弁当、

「特製幕の内弁当2つ」

と言った。

しばし、待たされた。



椅子に腰掛けながら、弁護士に言われたことを思い出した。

心の整理に努めた。


ぼんやりしていたら、BGMが流れてきた。それは忘れることのないピアノ曲。


僕が昔、ピアノの発表会で弾いた曲だ。

ショパンだ、ワルツだ。


美しいピアノ曲は、僕の全身にしみわたるようだった。

たしか、ピアノの発表会には、父も、わざわざやって来てくれていた。

きちんと、スーツを着てくれて。

あんな顔して、愛人がいた、子どもがいたんだ。

ひとは、見かけによらない。

本当に、ひどい。


もうどうでも良いことが、時々、何かの瞬間に思い出される。

弁護士に他人と思ってと言われた父のこと。

ピアノ曲は、僕を慰め、励まし、オーバーに言えば愛を贈ってくれるかのよう。

一生懸命、練習した思い出があるからか。


BGMを、ピアノ曲を、ひたすら聴くことに、僕は集中した。

ものは考えようだ。

ほかほかお弁当屋さんに、母と僕のお昼を買いに来れる。そんなお金はある。

大金じゃないけど。

待ち時間は、かつて、僕が一生懸命、ひたすら練習した、ピアノの発表会での曲。

静かに再び聴ける幸せ、それも、贅沢にひとりで。

聴き終わったら、出来たてのお弁当を2つ持って、母と食べる。

こんな平和な時間はないな。



そうこうするうちに、

僕の番号が呼ばれた。

レジのお嬢さん、本当に可愛い。

渡されたお弁当、温かく、おいしい香りがする。


急ぎ足で、帰る僕。

反面教師からのあとは、

幸せな待ち時間だった。


そして、そして。

雨は、いつのまにか、やんでいた。

ピアノ、母にきかせようかなあと思いながら、歩く僕だった。

美しい京都に住む僕は、もしかしたら、

不幸なようで幸せなんだとも、思うようにしたい。

なんたって、これからの京都、秋の京都は、美しいのだから!


おしまい。







昨年11月終わりの1枚、
晩秋の糺の森。



みーんなで、幸せになりましょう。








山口雄也さん。




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大和ゆか







いなもりあきこさんの言葉。


悩んだら、 
苦しくなったら、
おいしく食べよう。
ゆっくり寝よう。

元気に朝を迎えてから、
解決策を考えなさい。




お読みいただき、
ありがとう存じます。
皆様、お健やかに。
では、また。
ごきげんよう。