30年前に亡くなった祖父のこと
私が生まれる前から あまり家に帰って来なかったみたい
手に職を持ってるのに 日雇いで働いてたのね
そして
入ったお金はギャンブルに注ぎ込む
勝てっこないのに
腕には彫り物があった

たまに帰って来る日の格好は
“フーテンの寅さん”みたいだった
まぁ すぐ山谷の木賃宿に帰ってしまうんだけど
(現在はバックパッカー達に利用されているらしい)
そして帰り際に
「はいちゃい♪」
って私に言うのだ
ハイチャイ?
なんだろ…
意味が理解できたのは 私が大人になってからだったかな…
「はいちゃい」
↓
「はい、ちゃいなら」
↓
「はい、さようなら」
幼かった私に そう言ってたんだ
・・・
いつも 腹巻きの中から 小銭が出てくるし
面白がって 私が真似して遊んでると おばあちゃんに よく叱られたっけ…
サックの付いた赤い鉛筆を耳に挟んで
もう片一方の耳には銀貨がハマってた
鉛筆の芯は 必ず一度 舐めてから書いていた…筆を使っていた頃の名残かな
木遣りが上手だったな…意味わかんなかったけど
煙草は「いこい」
いつも買いに行かされた
よく近所の酒屋で 味噌をナメながらコップ酒を呑んでいた
「おっぺけぺ」って何だったっけ…
ヘンテコな数え歌も よく唄ってた
花札も おさった
こいこいとか
わざと
逆さ言葉で喋ってたな
何故か ギャンブルで負けたハズレ券の束と ナンヤラ怪しげな週刊誌、いつも壁とタンスの間に挟んで帰ってしまう
?
「おじいちゃんは何の仕事してんの?」
「サンドイッチマンだ^^♪」
サンドイッチ・・・
?
「じゃあ また来てね~」
はいちゃい♪
あばよっ♪