お風呂上りのクマオが
ファ~と言って
ソファにドンと座る。
上半身は裸のままだ。
私は床に寝転んで
軽くストレッチをしていた。
その様子をクマオが見ている。
「何?」と言うと
「いや、
幸せな光景と幸せな時間やと
思って」と言った。
これまでだったら
「そう?
私も幸せやで~」とか言って
嬉しかったけど
やっぱり最近はそんな言葉は
出なくなっている。
むしろ戸惑う。
どうせ、嘘。
いや、嘘ではないだろうが
口先だけのリップサービス。
相手が誰であっても
きっと同じことを言うんだろう。
悪気はないんだろうけど
そういうことが言えてしまう人なんだと
いうのが先にくる。
「ほんまかぁ~?」
揶揄るように言うと、
「なんでやねん。
ほんまやわ」と一応反撃してきたが
不毛なやり取りはこれ以上広げない。
心の深部に行かないうちに切り上げた。
ゆっくり服を着て
「さぁ、りこちゃん、
寝よか」と立った。
「寝よか」は「帰るわ」の合図。
もし、
クマオに他に女がいたとしたら
その女はクマオがこんな時間を
過ごすことを何て思うだろう。
セックスしてないから別にいいやと
思うのだろうか。
それとも鬼の形相で怒り狂うか
泣きじゃくる?
気づけばいつもそんなことを
思っている。
思考がその台本をさまよう。
きっと
まだまだ自分を防御しているんだな。