3泊4日の旅の余韻に浸るまでもなく、

容赦なく日常に戻る。
 
疲れが身体の中に重く残っている。
 
夜、いつものようにクマオは
やってきた。
 
 
旅行前に作り置きし、
冷凍していた豚バラ大根や、
小あじのフライに、
お湯にドボンとつけるだけで
美味に出来上がる塩鶏を食卓に。
 
 
「りこちゃん、
 疲れてるのにこんなに
 作ってくれたんや」
クマオが言う。
 
 
「ううん、大丈夫」
 
そうは言ったが、本当に疲れていた。
 
 
「今日は疲れてるから、
 また明日ね」
そう言えばよかったかもしれない。
 
何度もそう思ったが、
何故か、そうできないのが私だ。
 
 
結局、その日も11時前まで、
クマオとダラダラ食事の時間を
過ごす。
 
 
私の人生、これの繰り返し。
でも、これでいいのだと思う。
 
これを失った時の、あの気が狂うほどの
悲しみを考えると、身体の疲れなど
どうにでもなるのだ。
 
 
旅の終わり。
飛行機が最寄りの空港に着陸した時、
クマオが言った。
 
「さぁ、りこちゃん、
 元気になれたか?
 心も身体も元気になれたか?」
 
「うん」
 
「そうか。よかった。」
 
心も。
身体も。
クマオにしては意味深な言葉だと思った。
 
この旅は、クマオの私への償いの旅だった
のだろうか。
 
それとも、あの日以来、
私があの女のことを一切口にしなくなった
ことに対するねぎらいなのか。
 
 
こうして、またクマオとの日常が始まった。
ゴールは見えない。
この先どうなるのかわからないのは
依然同じだ。
 
 
クマオの首に手を回し、耳元で言った。
「クマオさん、とても近くてとても遠いよ」
 
ちょっとせつなくなったのだった。
 
 
 



 本日のお昼ごはんは、
 カルディで買ったピビン麺。