耳鼻科の外来に限るならば、2年もやっていれば8割は診られるようになる。8割わかればいいというならば、耳鼻科の勉強なんて2年で十分なのだ。
自分で診られない2割は、大学病院耳鼻科などに送っておけばいい。自分で診られなくても、何も問題ない。
8割が診られる状態は、耳鼻科開業医ならばどこも同じようなものである。ただ、この割合を9割にしようとすると、それからひたすら患者を診続けるしかない。これが時間がかかるのだ。
10年に1人くるかどうかの患者を診るのはとても大変である。長年数多くの患者をみつづけることで、その経験がつちかわれてくる。しかし、わからないのは全部大病院に紹介すればいいと思っていると、この経験がいつまでたっても身につかない。
耳鼻科の開業医の中で、開業してから臨床能力を伸ばせる人は少ない。多くの場合には、開業時点がもっとも賢く、年数を経れば経るほど、臨床能力は落ちていく。自分の間違いを誰も正してくれないからだ。
本来ならば開業してから学ぶことはたくさんある。それを全部他の医者にふってしまうから、まったく伸びないのだ。自分がわからない患者が来たときこそ、自分の経験を積むチャンスなのである。
スギ花粉症の患者にアレルギーの薬を出し、風邪の患者に風邪薬をだす。これで正解。そう思っている限りは、まったく臨床能力は伸びていかない。どうしたらその患者を治せるかではなく、どうしたらもうかるかばかり考えるようになってしまう開業耳鼻科医が多い。