マイコプラズマ肺炎の勘違い | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

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以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

以前にも書いたのですが、マイコプラズマ肺炎の年齢分布を再度載せてコメントします。

 

 

このグラフが非常にわかりやすいのです。みんなが思っている不安を解消してくれます。

 

一番の注目は20歳以上はほとんどいないということです。若いうちにマイコプラズマに感染してしまい、免疫ができるので、年をくうとかからないのです。ですから、自分の子どもが感染しても、その親はよほどのことがないと発症しません。免疫で守られるのです。

 

もう一つは、4歳未満の小さな子供にも、マイコプラズマはいます。このデータが古ければ、これは迅速検査前のデータかもしれません。今年あたりから迅速検査がブレークし、従来のマイコプラズマ肺炎例ではなく、マイコプラズマに感染したという人のデータはかなり変わってくるはずです。グラフは重症例がほとんどでしょう。重症だから調べてみたら、マイコプラズマと判定できたというケースだと思います。

 

ここからはよくわかっていないことなのですが、小さな子供は症状が軽く、風邪と言われているケースが多いのです。10歳以上になると、免疫的な違いからか症状がひどくなり、従来のマイコプラズマ肺炎と言われて診断受けるケースが多いのでしょう。

 

症状が軽いマイコプラズマ感染者はたくさんいます。知らない間に軽い症状で終わってしまっています。そのような人をマイコプラズマに感染していると診断する意味合いはあまりありません。

 

マイコプラズマと診断すべきは、咳や熱などの症状が重い人。学校に行っている10歳以上の人で、周囲へ感染させないために、学校を休ませる必要のありそうな人です。そのような人はきちっと診断し、感染予防のために学校を休ませる措置が必要です。

 

もう一つ追加しておきます。マイコプラズマ感染は一生免疫が持続するわけではありません。免疫がもつのは4年ぐらいと言われており、オリンピックの年にはやると噂されていました。4年もたつと再度免疫がおちて、再感染するということです。ただし、一度マイコプラズマにかかった人は、次の感染は極めてかるくなることは予想できます。

 

他院のケースですが、咳がひどい70歳のお年寄り。マイコプラズマの検査をしたら陰性だったと内科で言われたそうです。マイコプラズマ調べるなら、結核や肺がん考えてくれよと思うのです。この人咳がとまらないと当院きましたからね。喘息治療してよくならなければ、肺CTとらないとだめかな。内科で胸部レントゲンは異常ないと言われたようなので、結核、肺がんの診断はすこしまってもらっています。

 

マイコプラズマではありませんで、患者は納得し、安心してしまうのです。本人の悩みは咳がとまらないことなんですけどね。

 

咳がとまらないから、マイコプラズマかどうか検査してほしいという患者がたくさんきます。

「いつから咳でるんですか?」

「2週間前からです」

そんなのマイコプラズマだと判断しても、抗生剤効かないですよ。もうマイコプラズマの病原菌いないから。調べる意味がまったくありません。「咳をとめてほしい」と受診するのはもっともなのですが、「マイコだけ検査してくれ」と来るので、腹が立つのです。金儲けだけ考えるのならば、検査して陰性ですよと追い返すんですけどね。それができないのは、医師の倫理感がまだ残っているからです。