特別支援の必要なA君
たくさんの語彙を持っているけれど、イライラスイッチが入ると鋭利な言葉や不適切な言葉が出てしまう(自分が不利だと感じてしまい自分を守る為に誰かや何かを理由にしてファイティングポーズをとってしまう)
集中の継続が難しく状況や言葉の背景を読み取ることが難しい
アドバイスは「自分を否定された…」と受け止めてしまう
自分が不利だと感じると悔し泣きの大号泣
大波小波の日もあればガッハッハと大笑いして楽しいレッスンの日もある
この子のその日の波もレッスンにも凸凹感はあるけれど、A君のステキな所を私は知っています
自信が持ちづらい+勝ち負けに拘るからついファイティグポーズをとってしまうけれど、裏を返せばこの子が確実に出来ることを通じて成功体験を積み重ね、そして落ち着いた状況さえ作り出せればキチンと伸びていくと思っていました
当教室にご入会される前は某大手音楽教室でのレッスンを受けていたA君ですが、その当時のお話をお母さまからたくさんお伺いしました
A君本人もお母さまも「(グループレッスンを受けることに)大変過ぎて親子で疲れ果ててしまいました。」と
それはそれは大変だったであろうと想像ができます(私は10年その某大手音楽教室の講師をしていましたから『中のこと』は大まか理解をしています)
システムコースに在籍した場合、年間のレッスンカリキュラムの進度や次のコースへの進級のタイミング、グレード取得への取り組みなどは全国の各教室でほぼ統一実施ですので、特別支援の必要なお子さんにとっては『個人に対する合理的配慮が行き届かない現実』がそこにあります
それには組織全体として特別支援の研究、そして講師に対する特別支援の指導研修・取組みがないからです(自由参加型講座などは極々僅かにあるようですが…)
結局は各々の先生方が『個人で学ぶ』というところに頼られていますし、カリキュラムにのったレッスンの中で(特にグループレッスン)どのように合理的配慮を行っていくのかの『組織としての理解とノウハウ』は…ほぼないと言ってもいいでしょう
私が所属していた当時はもちろんのこと、コロナ禍前のお話を伺ってもそのようなレクはないとのこと
※実際に私は現役で大手楽器店に所属されている先生からご相談を受けた経験がありますが、その先生から伺ったお話では、グループレッスン内に特別支援が必要であろうと思われる生徒さんがいらっしゃり、その子への指導とグループレッスンに悩んでいたところ、指導スタッフの先生から言われた言葉が「それは先生が何とかしてあげないと!」と、完全に個人に丸投げ状態だったそうで…それには相談をした先生もショックを受けたそうです(そりゃそうですよ…)
勿論某音楽教室のレッスンには学校のように加配があるわけでもありません
A君も親御さんも本当に本当にお辛かったと思いますし(グループではなく個人レッスンの選択も勿論あったとは思いますが)指導されていた先生の「どうしてあげればよいのか?」という思いと、システムに縛られる難しさの板挟みで相当なお悩みがあったと推測されます
私は某大手音楽教室や担当の先生のご指導云々を否定しているのではなく(もちろんそこはマイノリティ理解という企業改革=指導改革をすべきだと思いますが)そもそも論として生徒さんと該当する教室(組織)の指導スタイルが残念ながら合わなかった…ということだと思います(グループまたは個人との違いや、レッスンカリキュラムのスケジュールが固定されている状態を生徒さんのその日の様子や理解度・成長に合わせて臨機応変に変えることができるのか?など…正に学校のクラス運営と同じですし、インクルーシブ教育は『机上の知識』だけでなく、『実体験・経験』を積まないと…「明日からすぐにできます!変われます!」という訳ではないので)
そのようなレッスン環境の中で親子で数年もの間頑張ってこられ、限界を感じ、当教室へお問合せのメールを頂いた時のお母さまのメッセージには“嵐の日々であったこと”が滲みとれました
そんな経験を踏まえて当教室の体験レッスンを受けて頂き、ご入会されたA君
かと言って私はカリスマ講師でもスーパーマンでもなく、私自身が特別支援教育の学びを必要と感じ、子どもの発達とレッスンの絡みを約15年地味〜に学び続けているただの講師ですが、経験値を重ねても行き届かないことや出来れば避けたいA君とのバトルレッスンも経験済みですし、それはお母さまもご存知でして(^_^;)
「ついに(我が子の)本性が解禁されましたね!(笑)
でも良い意味で先生との距離が近くなったのだと思います。泣いたり怒ったり、そういうやり取りが先生とできていることが先生との信頼を強くしている証だと思いますし、自宅練習に対しても本人の意欲をとても感じとれるようになりました。
どんな状況でも先生が対応してくださるから親の気持ちが凄く楽になって、自宅練習も楽しく見守れるようになりました。
発達障がい児って平和な日々が少ない方なので、こんな風に親身になって教えて教えてくださる先生と出会えて我が家は幸せです。」
とお母さまは仰ってくださいました
私の失態を冗談っぽく受け止めて下さり、尚且つ冷静な状況分析をして下さり、A君の成長を重ねながらさり気なく私をフォローをして下さったお母さま
私を信頼して下さったお母さまの懐の深さに胸を打たれました
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楽譜を見ながら(追視)弾くことが苦手だったA君は、追視のトレーニング(ビジョントレーニング)とフォロー満載のテキストの利用によってご入会されたその日から追視ができるようになり、A君の急激なその変化に親御さんはそれはそれは驚かれていました
時にはイライラモードや火山の噴火もありますが(^_^;)昨年末の最後のレッスンでは大噴火モードでしたが(^^;;それも静寂のひと時を取るとレッスンに戻ってきてくれます
昨年のYouTube発表会の課題曲も「センセー!ココは『小さな声だけど1人でも頑張って歌ってみるね!』って感じで、そしてココはその子をみんなで応援してる感じに聴こえる!」と曲の一部分に対する解釈を話してくれたA君
ちょっとジーンとしてしまいました( ; ; )
大泣きして大の字になっていたあの子
「絶対にできない‼︎」と腹を立てていたあの子
「もう帰る!こんな教室なんて辞めてやる!」と部屋を飛び出したあの子
今の私が過去の私に伝えたいこと…
あの子はこの子だよ
すごく頑張っているよ、あの子(^^)
