次に触れておきたいのが文法です。
文法についても考え方は同じです。土台となるのが中学文法です。それに上乗せする形で、高校で学ぶような少し難しい文法があります。
誤解している人もいるようですが、中学文法と大学受験用の文法は別に存在するものではありません。中学文法という核にあり、それに電子や陽子のようにくっついてふくらんでいるだけです。
たとえば、受験文法の7割が中学文法でできていて、高校で残りの3割を教わるといったイメージを持ってもらうといいでしょう。中学文法がわかっていれば高校では苦労はしませんし、逆に中学文法がわかっていないと、高校ではついて行くのが大変です。
ですから、どんな大学を受験する人も、まずは中学レベルの文法をしっかりやらなければなりません。それが大学入試でも土台になります。ぐらぐらしないしっかりした土台さえできれば、あとは柱を立て、壁を塗り、屋根をのせるだけで、楽なのです。
では、「残りの3割」の正体ですが、言うまでもなく1つは中学でやらなかったような文法分野です。塾に行っていた人は習っているでしょうが、行っていないなら、関係詞や仮定法などは知らなかったかもしれません。
そういったものは基本例文とともに覚えます。
「残りの3割」のもう1つは構文です。
構文とは文法の知識を再編して、英語を読んだり書いたりするときに役立てる知識にすることです。たとえば、みなさんよくご存じの次のような英文です(Fed Ex'sは「フェデックスする=フェデックスで送る」という意味で、三単現のSがついてます)。
Bill Gates is so rich that he Fed Ex's his Christmas cards.
「ビル・ゲイツはとてもお金持ちなので、クリスマスカードをフェデックスで送る」
おなじのso ~ that … 構文です(この英文はもちろんジョークです)。
私たちがこの英文を「とても~なので・・・だ」という意味だとわかるのは、これがso ~ that ・・・構文だと見抜いているからです。
so ~ that構文を知らない人は、thatがどんな役目かわからず、この英文の意味はわからないでしょう。
こういったときの対処法が構文なのですが、学び方は主に2つあります。
1つはこれをso ~ that ・・・=「とても~なので・・・」と公式として覚えてしまう方法です。実際、公式として覚えるという方法は、私が調べて限りでも戦前からおこなわれています。
もう1つは知っている文法知識を生かして、この英文の構造を知ることです。
たとえばso ~ that ・・・で言えば、so richのところは、ふつうなら前の内容を指して「それほどお金持ちだ」の意味になります。
でも、この場合は例外的に、前の内容ではなく、後ろのthat のあとの文を指しています。だから、「(それくらい金持ちとは、どれくらいか金持ちかというと)フェデックスで送るくらい金持ちだ」ということになります。
つまり、構文の勉強は公式として丸暗記するか、文法知識を再編して読む知識に変えるか(=理屈を覚える)かのどちらかです。
基本的には理屈で覚えるほうをお勧めします。というのは、この原理がわかれば、so ~ as to doもわかるし、so+形容詞がsuch+名詞になったsuch ~ thatもsuch ~ as toもわかるからです。
soもsuchも後ろを指して「それくらいとはどれくらい?」の説明が来るとわかれば、so ~ as to doは「・・・するくらい~だ」の意味ですし、such ~ that ・・・は「・・・くらいの~だ」の意味だとわかります。さほど苦労はいらないのでしょう。
ただ、「理屈は苦手だ」という方はどちらでもかまいません。
以前は構文を「公式」で覚えると膨大な量を覚えないといけなかったのですが、最近は世界的に英語がやさしくなっていて入試もさほど複雑な構文が出てこないので、多くの大学で諳記でも対応できるようになっています。
とはいえ、大学に入っても多くの人が英語をやらなければなりませんから、どうせなら理屈で覚えたほうがいいんじゃないかと思います。
続きます。
※追記
念のために追記です。上のようなso ~ that ・・・の理屈を覚えると、「とても~なので・・・・だ」という訳は違うとばかりに、やたらと「・・・なのは~だ」と訳す人が出てきます。でも、「フェデックスで送るくらい金持ちだ」と訳すと正確になるというわけでもありません。
細かいことを言うと、「お金持ちであること」の1つの例として「フェデックスで送る」が出ているので、文が言っているのはあくまで「お金持ちだからフェデックスで送る」なのです。逆ではありません。
クリスマスカードをフェデックスで送るくらいは多くの人ができるので、「フェデックスで送るくらい金持ち」と言っても、この文意と少し離れることは避けられません。
もしthatの動詞に助動詞がついていて、so rich that he can buy Fed Ex …だったら、「(クリスマスカード送るために)フェデックスを買収できるくらい金持ちだ」となって、言いたいことと合います。
「とても~なので・・・だ」というのもそれなりに考え抜かれた訳語で、簡単に否定していいわけではありません。

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