このとき、ちょうど夜のような暗さとなって何日も経った。
当時の人は、「常夜を行く」と言ったそうだ。
皇后は紀直の先祖である豊耳に問われた。
「この変事は何のせいだろう」
一人の翁が、「聞くところでは、このような変事を阿豆那比の罪と言うそうです」と言った。
「どういうわけか」と皇后が問われると、答えて、「二の社の祝者を一緒に葬ってあるからでしょうか」という。
それで村人に問わせると、ある者が、「小竹の祝と、天野の祝は、仲の良い友人であった。小竹の祝が病になり死ぬと、天野の祝が激しく泣いて『私は彼が生きているとき、良い友達であった。どうして死後、穴を同じくすることが避けられようか』といい、屍のそばに自ら伏して死んだ。それで合葬したが、思うにこれだろうか」と言った。
墓を開いてみると本当だった。
棺を改めて、それぞれ別のところへ埋めた。
すると日の光が輝いて、昼と夜の区別ができた。
(『日本書紀』神功皇后)
小竹祝の神社の候補地は複数あるけど、天野祝は丹生都比売神社1つなんだね。
小竹宮候補地その2 旧府神社(ふるふじんじゃ)について
(丸笠神社の)社伝によれば、神功皇后が小竹宮に遷ったとき、勅命を受けて国内の平定に尽くした武将である「小竹祝丸」と「天野祝丸」の墓二つを造ったので、境内は車塚となり、この地に「御諸別命」を祀ったと伝えられています。
「勅命を受けて国内の平定に尽くした武将」?
小竹祝も天野祝も、神功皇后と一緒に九州に行っていた兵士なの?
神功皇后がここを訪れるより前に埋葬されていた2人と、勅命を受けて国内の平定に尽くした武将2人が同一人物だとは考えにくい。
また、「二人を一緒に葬った」とか「一緒に葬っていたものを分けた」という話がなく、「墓二つを造った」となっていることからも、「阿豆那比の罪」がどうのと言われていた人物に対する伝承ではないように思われる。
小竹宮候補地その3 志野神社について
志野神社の禰宜の考察によると、
豊耳が日前神宮・國懸神宮、
小竹の祝が志野神社、
天野の祝が丹生都比売の人よ。
志野神社は丹生都比売神社からも近いから、仲良くなりそうではある。
元々志野神社辺りにいて、分けて埋められた先が小竹八幡宮近くの小竹祝塚だった、とか。
小竹宮候補地その4 波宝神社(はほうじんじゃ)について
『西吉野村史』には「神功皇后が三韓征伐から帰還され、南紀に赴かれる途中、この山で休まれた際(あるいは南紀日高からこの地小竹宮に還られた際)、にわかに白昼であるにもかかわらず、夜中のように暗くなり、神に祈られるとふたたび日が照りだし明るくなった。このことから安場の地名を「夜中」と呼ぶようになった」とある。
どこからどこに向かっていたのかはさておき、神功皇后がこの辺りを移動している途中で、昼なのに夜みたいに暗くなるという現象が起こったのは確かっぽい!
天野祝がいたとされる丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)について
四社の本殿が並び、「四社明神」とも称される当社ですが、第三殿と第四殿が築かれ、四社が揃うのは、鎌倉時代のことです。
鎌倉時代の初めに、神職と共にこの神社を護持していた、行勝上人という高野山の僧がいました。
ある晩、上人のもとに丹生都比売大神と高野御子大神が現れ、「往昔の友(旧友)」である気比神宮の大食都比売大神、厳島神社の市杵島比売大神を共に祀って欲しいと告げました。
上人の弟子に源頼朝の庶子の貞暁がいたことから、北条政子の下へ託宣は報告されます。
政子の命により、直ちに第三殿と第四殿が造営され、大食都比売大神、市杵島比売大神が勧請されたといいます。
天野祝が小竹祝と一緒に葬ってるから常夜になった、阿豆那比の罪だ、とかって言われていたのに、
かなり時間が経っているとはいえ「旧友と共に祀って欲しい」って言っちゃう丹生都比売は寂しがり屋さんだね‼
本当は、天野祝が小竹祝を一緒に葬ること自体は罪でもなんでもなかったんだろう。
ただ、天変地異が起こってしまって、「その原因は何だ⁉」という話になった時に、無理やり原因だということにされただけだろう、と私は考える。
「何のせいで常夜になったの?」とか言われても困るよね…。
そんなことで生きている人が罪に問われても困るから、亡くなった人に罪を負って貰うのは賢いやり方だと思う。
で、結局、小竹宮ってどこ?
波宝神社の伝承が1番、神功皇后がその時その場所を通ったことを伝えているので、波宝神社やその付近と考えるのが良いように思われる。
その程度しか言いようがない。
けれど、どこに小竹宮があったにせよ、神功皇后が衣奈八幡神社→(小竹八幡宮→)志野神社→ 丹生都比売神社→ 波宝神社辺りを通ったのではないかという感じがするので、また和歌山に行く時はそういうつもりでその辺りををもう少し回ってみようと思う💪
旧府神社(ふるふじんじゃ)
大阪府和泉市尾井町2-3-41
志野神社(しのじんじゃ)
和歌山県紀の川市北志野557
波宝神社(はほうじんじゃ)
奈良県五條市西吉野町夜中字銀峯山176
丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)
和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230
日前神宮・國懸神宮(ひのくまじんぐう・くにかかすじんぐう)
和歌山県和歌山市秋月365