我欲に満ちた力でコトを進めれば必ずねじれが起きる。

(中略)

彼ら(インカーブのアーティスト)に出会ってよくわかった。ねじれを起こさないためには他人の力によって起こされた風を待つしかない。いつでもその風を受け止められるような体勢を保っておくことだ。急に風が吹いてもやりすごしてしまわないように。
他力にすがるためには「観点変更」が必要になる。高い建物から小さな点を見つけるには、既成概念の鎖を溶かし、観点を変更しなければならない。それは不可能にも思えるが、きっと見える時がくる。

「観点変更 ~なぜ、アトリエインカーブは生まれたか~」 今中 博 著

※アトリエインカーブとは、社会福祉法人素王会のアートスタジオとして2002年に設立され、知的に障がいのある現代アーティストたちの創作活動の環境を整え、彼らが作家として独立することを支援している。
(HPより)
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「卵を割る方法」Vol.2


「人に伝える」という卵を割った後、私は大好きないくつかの本屋さんを巡り、本を偵察する日々を送っていました。

興味があることが出てきたら、ひとまず本屋さんに偵察へ行く。何もなくても本屋さんで本を眺める。それが、いわゆる私の趣味の一つです。膨大にある本の山の中から自分好みの一冊を発見した時は何とも言えない至福の時。
耳元でファンファーレが鳴っているようです。
そのため、あの時も大好きな本たちとたわいもない会話をしていました。


そして、出会ったのです。私の心にぽっと明かりを灯し、柔らかな旋律を届けるあの人たちと。

その本を見つけたのは偶然で、しかもその本自体はすでに手元にないためタイトルさえ分かりません。けれども、その本の中で紹介されていた「アトリエインカーブ」という社会福祉法人に一瞬にして心を奪われ、ある意味恋をしました。

情熱的な恋に落ちた私は、導かれるように行動に移しました。


私が2つ目に割った卵。
それは、「会いたい人に、会いに行く」です。

アトリエインカーブに恋をした私はどうしても代表である今中さんとお話をしてみたくて、そしてこの目でアーティストのみなさんの作品を見てみたくて、お伺いするための方法を模索しました。

まずはインターネットでHPを拝見。
しかし、HPには「*アーティストはご見学の方に対して敏感で、不安定になることがあるため、ご見学はお受けしておりません。」とあります。

早速行き詰まりました。。。
けれども、どうしても会いたいのです。

そう思いつつも、逸る気持ちを胸に、少しだけ時間を置いて自分の心の本当の声に耳を傾けてみました。

「人に会う」、「会っていただく」ということは、その人の貴重な時間を私にいただくということ。そして何より見学を受け付けるのが難しい状況にあるところへ本当に足を運びたいのか。自分の心の奥にある本当の気持ちを見つめてみました。

数日後、私は今中さんへお手紙を送りました。
そして、それから数ヶ月後、私は新幹線に飛び乗り、一人大阪へと向かいました。


そう。アトリエインカーブに恋をし、今中さんの志に感銘を受けた私は、アーティストや今中さん、そしてスタッフの方々と直接お会いする機会を、ご縁を手にしたのです。


会いたい人に、会えました。


その時に、今中さんからいただいた、私がとても大切にしている言葉があります。

「流れに身を任せる」

これは、まだ道が定まっておらず、今後どのような人生を歩んでいくか分からないこと。そして、見学が難しい状況の中、見ず知らずの私を招いてくださったことに感謝するとともに、今中さんにいただいた時間やお話を活かしきれるか分からないことに対して負い目を感じていることを、正直に打ち明けた時にいただいた大切な言葉です。

「流れに身を任せる」

この言葉は、無意識のうちに入っていた身体中の力をすーっと抜き去り、同時に心もすっと軽くしてくれたことをよく覚えています。

アトリエインカーブを訪れ、その「訪れた」ことに対して固執し、がんじがらめになるのではなく、常に流れに身を任せ、たゆたうゆうに生きていく。それでいいのだと、今中さんは教えてくれました。

会いたい人に会いに行くということから、「負い目」という不安がぬぐい去られた瞬間でした。

その後、私の足取りは一層軽やかになり、やってみたいことに対してさらに素直に向き合えるようになったように思えます。

本当に望んでいることであれば、流れに身を任せて歩んでいる中できっと必ず廻り合い、最良のタイミングでその手に引き寄せることができるのかもしれません。




愛と笑顔とHAPPYをお鍋いっぱいに詰めて♪

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