四季の国不思議。

 

近年の地球温暖化にる天候超不機嫌の乱拍子…

人為の果ての天意かもねぇ。

それでも、立春、立夏、立秋、立冬の四立を尊ぶ気風は、

薄れつつもしぶとく残っている。

もうすぐ立夏、今年は「戒厳令下」の5月5日である。

今では一年は、春、夏、秋、冬の四季が通説となっちまったが、

もともとは、それぞれの季節の間を掛け持ちする小僧が一人いる。

正確に言えば、四季に非ず「五季」となる。

それがこの小僧、「土用童子」である。

 

 

肩で風切るマドロス小僧。

<マドロスなんて古いわねぇ>

手にしているの、お船の舵輪ではない。

釈迦の八つの教義を形にした「法輪」。

もとはインドの武器「回転斬」。

外側が刃物、クルクルッと投げて敵を倒す

ブーメラン方式。

ときおり韓国ドラマなどで見かけるが、掴み損ねたら、

怪我しちゃうぞなぁ、もし。

 

薩摩に「家督さん」と親しまれた

盲僧琵琶の集団が、あった。

話は、いっつも過去形ばかりやなぁ…

たまには「輝ける未来に!」

なんて政治家みたいに言うてみたい。

けどが、未来なんて、言うも恥ずかし!

脛に傷持つ旅の鴉でございますゆえ。

 

その家督さんの語り物のひとつに「王子の釈」がある。

天帝に四人の王子あり。

一年365日を四つに分け、春を「青龍王子」に、

夏を「朱雀王子」に、秋を「白虎王子」に、

そして冬を「玄武王子」の担当として、

それぞれ約90日を治めさせた。

 

結構なお日和でございますなぁ…

いい具合だったんだがねぇ、

ここに晴天の霹靂!

五番目の「マドロス王子」の誕生である。

小さなうちは子供はいい。

龍の兄、朱雀の兄、虎の兄、玄武の兄…

兄ちゃん大好き!

ところがさぁ、生えるのさ「自我の角」。

まぁ、あとは言わずもがな、お決まりのウン、喧嘩だ。

俺にも役目をくれろ…

というわけで天地ゆるがす争いに、

天候荒れに荒れ、荒れた。

 

天帝オロオロ…

こういう時の収め役はやはり母ちゃんだ。

妃は落ち着いたもので、

「ひとつ腹から出たくせしてバカタレ!」と一喝。

乳房を出して天から一滴垂らすと、一面の霧が立ちこめて

戦は止んだ。

だって何にも見えへんもん。

気を取り直した天帝、電算機を叩くと、

厳かに申し渡した。

四王子の持分から、18日を召し上げて、

そを「土用」と名付け、

五番目のマドロスに与え、「土用王子」と名付た。

 

18日×4=72日となり、五王子ともにほぼ同じ持分に。

土用王子の出番は、立春、立夏、立秋、立冬の前日までの

各18日であるから、まぁ、忙しかねぇ。

 

かつては、土耕さず、種蒔かず、家建てず…

などの禁忌があったが、もうだれも知らん。

あぁ、そうだ。立夏が5月5日だから、

今がちょうど禁忌のとき。

外へ出るなよぅ、サーフィンするなよぅ…

 

このお話の名残りを、今に、伝えるのが、「大相撲」。

青房(東)、赤房(南)、白房(西)、そして、黒房(北)に、

丸い土俵が(土)。つまり土用である。

土俵を動きまわり、軍配を的確に差す行司役が

土用童子ということになる。

 

 

「音、匂い、風…家督さんのひとり旅」と

あわせてお読みいただければうれしいです。